「ぜんぜん出逢いがなくて……」。
恋愛について近況報告しあう女同士の会話のなかに、必ずといっていいほど出てくるこの言葉。
言っている本人は分かっている。出会いはどこにでも転がっていて、探しに行ってないだけ、行動していないだけ、待っているだけだって。
悲しいことに年齢と共に出逢いの場はどんどん遠ざかっていくものだ。
社会人になれば必然的に遊ぶ時間は限られるし、ひとり、またひとり、結婚して子供が生まれて、今まで一緒に遊んでいた友人たちと会う時間も少なくなっていく。
そして、気づけば夕食をひとりでとることなんて当たり前だし、家具の組み立ても何でもできるようになってしまう。強い女、逞しい女になっていく。
挙げ句の果てに、ひとりで生きていくためにはどうしたらいいかなんて考えはじめたら、ちょっと危険信号だ。
やっぱり、出逢いを求めて新しい場所に出向かないと始まらない。
でも、ひとりの心地よさを味わってしまうと、そこからなかなか抜け出すことができなくなってしまうのも事実。
知り合いのなかには、デーティングアプリを利用して出逢いを作っている人もいる。当たり外れはあるけれど、とにかく実際に会って、話してみないと次に進まないからと前向きだ。たしかにその通りだと思う。
ブラインドデート自体はアメリカ映画やドラマにも頻繁に出てくるので、どんなものかは知っているが、いざ自分が……となると、ちょっとためらってしまう。
調べてみるとブラインドデートにもいろいろあって、気になったのはランチデート。
本格的なお見合いのようなものだと変に結婚を意識してしまうのに対して、ランチタイムを使ったブラインドデートは、時間が限られていること、話が合わなかったとしてもランチの時間と割り切ってしまえばいいのだから。
あとは年齢問題。
女性は何かと年齢を気にする生き物で、好きになった相手が自分よりも年下というだけで、その恋をためらってしまうこともある。
そんな戸惑いや不安を掻き消してくれるのは映画やドラマだったりする。
好きな映画がある。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の『理想の彼氏』。
40歳バツイチのヒロインが出会ったのは、ナニーとして雇った24歳のフリーター。理想とかけ離れた人が恋の相手かもしれない、運命の相手かもしれない……恋の可能性を広げてくれる映画だ。
もう一度この映画を見て、恋愛スイッチをオンにして、まずはランチデートに挑戦してみようと思う。(text:Rie Shintani)