近頃は「恋愛に興味がない」人が増えています。「絶食系」と呼ばれる彼らは、恋に重きを置いていません。自分自身がそうだという人もいれば、意中の相手がそうかもしれないと感じている「恋愛体質」の人もいるはず。では、一筋縄ではいかない絶食系さんに対して、どういうアプローチがNGなのでしょう? 「絶食系」の方と「恋愛体質」の方のLINEを覗き見しながら、カウンセラーのゆみ先生が両者のスタンスを分析します。
恋に積極的な「肉食系」の対義語は「草食系」ですが、それすら通り越しているのが恋愛に興味がない「絶食系」です。自分の人生において、恋愛はなくてもいいものだと考えており、パートナーを探す意欲も結婚願望もありません。子どもの頃からそうだったという人もいるでしょうし、過去の経験や逼迫した生活が原因の人、ときめきがなくても十分満たされているから必要ないという人もいるもよう。出会いの機会がないわけではなく、自ら独り身を選んでいる人を指しています。
もしも自分の好きな人が絶食系だったとしたら、とりわけ恋愛体質の人は戸惑うことになりますよね。まず恋愛対象として見られることが至難の業ですし、あまりの考え方の違いに、新人類と出会ったような気分になるかもしれません。それでも諦めたくない相手なら、まずは自分とは異なるスタンスを理解する必要があるでしょう。
さて、下記の3枚の画像は、恋愛体質A子ちゃんと絶食系B男くんのLINE画面です。A子ちゃんはLINEのやりとりからB男くんと関係を深めようとしていますが、いかんせんタイプが異なるので空回り気味……。どういうアプローチが間違っていて、次からはどうするべきか、先生にアドバイスを送ってもらったので、A子ちゃんと同じ境遇の方は参考にしてみてくださいね。
こちらはA子ちゃんとB男くんの朝のLINEです。B男くんは返信こそしていますが、A子ちゃんに比べて反応が遅いですね。これ以降の返信はさらに遅くなっていき、結局、B男くんは「中身がない、いつ終わるのかわからないLINEは苦痛です」と、A子ちゃんから距離を置くことさえ考え始めてしまいました。
ゆみ先生「A子ちゃんは恋愛の優先順位が高く、常に相手とコミュニケーションを取りたい人ですね。連絡がないだけでも不安になってしまうために、LINEもついつい頻繁になってしまい、独り言のような内容でも送ってしまいます」
「相手とつながっているという安心感を求める気持ちは分かるのですが、LINEは1日1回でも良いくらいに考えて、本当に大事な用件を含めたメッセージや、相手を気遣う言葉のみを送るようにしてみましょう。相手に負担がかからず、返事がきやすくなると思いますよ」
これもA子ちゃんから。お昼に食べためずらしいものを、B男くんに共有していますね。ポイントはA子ちゃんの「最近忙しそうだね?」。ただ単に心配しているようにも取れますが、B男くんは直前のやりとりに間隔が空いていることで、即レスできないのかとプレッシャーをかけられているように感じてしまいました。
ゆみ先生「A子ちゃんは色々なことを相手と一緒に楽しみたくて、美味しいお店の写真を送ったり、相手が興味を持ちそうなことを書いたりしています。しかしこれでは、相手は予定を調整しなければ、返事を書かなければと焦り、疲れてしまいます」
「お互いのペースが違う場合には、少しずつでも足並みを合わせていくことがとても大事。本当に必要なことだけを書き、緊急のときだけ返事を催促するなど、相手のペースを守りながら気楽に待ってあげましょうね」
こちらは仕事終わりのLINEですね。結局、この後のB男くんは「電話はできない」と断ってしまいました。やっと仕事が終わって疲れているし、すぐさま帰宅ラッシュの電車に乗るからとのこと。絶食さんは緊急性の低い電話を嫌っているケースが多く、相手の時間と手元を奪う通話のタイミングには注意が必要です。
ゆみ先生「A子ちゃんは相手から反応が貰えず不安になったのか、独り言のような、返信に困るような“つなぎ”の内容を送っています。少しでもつながることで、安心感を得たいのでしょうが、相手からすると、自分の気持ちを無視して自己中心的なことを一方的に送り付けられている感じがして、どんどん気持ちが冷めていってしまいます」
「返事がなければ相手が書きたくなるまで待ってあげるとか、“今日は天気予報では雨だね。傘を持って行った方がいいかも。滑りやすくなるから気を付けてね”とか、なにか少しでも相手の役に立つような内容を盛り込んであげるといいでしょう」
ここまで、シーンごとにA子ちゃんへのアドバイスを見てきました。しかし、B男くんはB男くんで、いくら興味がないと言っても、自分に好意を向けてくれている人に対して、せめて最低限の誠意は見せるべきかもしれません。A子ちゃんが度を越して迷惑だという場合以外は、それが恋愛や自分の志向を抜きにした大人としての配慮でしょう。
ゆみ先生「B男くんはA子ちゃんのLINEにどう答えたらいいのか分からず、返事を書くのが苦痛になっているでしょう。ただ、そのことで相手が不安になったり、誤解が生じたりして面倒なことになる前に、先手を打っておくと吉です。“自分はマメな方ではないので、メッセージはうれしいけど、返信が遅れたときはごめんなさい”と先に伝えておくと、相手も不安にならずに済むと思います。関係が深まってきたら、冗談っぽく“内容があることを送ってよ!(笑)”と書いてしまっても大丈夫ですよ!」
「内容のないLINEにはうんざりしてしまうと思いますが、相手が自分との関係を真剣に考えてくれて、一生懸命になってくれていることには十分配慮しましょうね」
一度きりの人生の中で、恋愛の占める割合をどの程度のものにするかは、まったく個人の自由です。恋愛体質さんも絶食さんも、どちらかが正しくてどちらかが間違っているということはありません。しかしだからこそ、スタンスが違う相手を尊重し、理解しようとする努力は大切です。その取り組みは必ず、あなたの人としての魅力を磨いてくれますよ。
産業カウンセラー/日本心理学会認定心理士
恋愛、結婚、離婚、仕事、人間関係、性、子育てについてなどのお悩みを伺っておられます。