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原田ちあきの人生劇場「やりたかった事が楽しくなくなってしまった」

更新 : 2020.08.11 12:00 / 作成 : 2020.08.11 12:00
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イラストレーター・漫画家の原田ちあきが皆さんの相談に答えてみたり一緒に悩んだりするコラムです。
▼今回のお悩みはこちら▼
私は高校の進路決めの時に両親が借金を理由に離婚したんだけど、その時に自己破産をしたから学資保険とかも全部なくなっちゃったのね。

小さい頃から「将来コレになりたい!」っていうものが全くなかった私は、元々別に大学に行っても行かなくてもいいや~って思っていて、その時も「じゃあ大学行くのやめた~」くらいにしか思ってなかった。
で、進路希望用紙に「役者になります」って書いて提出したの。

私は高校時代ずっと演劇部に所属していて、その頃コントにドはまりして、毎日コントの動画を見まくって、見たコントを全部台本に起こして、学校ででっかい声で読んでた。

「こんな事をしちゃう私ならコント師になれるんじゃない?」っていう根拠のない無敵感があって、そう書いたの。

私はポジティブというか、ずるい性格をしているから「親が自由にやってるし、私もちょっとぐらいわがまま言っていいでしょ」って思って、みんなが受験している中一人だけ俳優養成所に行って、入所金の30万円を払って演劇を習い始めたの。
勿論アルバイトをしながらね。

で、2年ぐらい週1のレッスンを受けて、たまにオーディション受けたり、ドラマのエキストラをしたりして過ごしてたんだけど、ある日突然ポーンと飽きちゃった。

多分あなたがYouTubeに飽きたのと同じ感じだと思う。
本当に突然興味を持てなくなって、目標がなくなっちゃった。
周りの友達は大学や専門に入って、毎日ちゃんと勉強したり、きちんと会社に勤めていたのに、「自分だけ何も持ってないじゃん!」って焦ったなあ。

でもそこから10年経った今ならわかるけど、何かを諦めてしまっても、やっていた期間につんだ経験値がなくなる訳じゃないのよ。

「やめる=やめる前の状態に戻る」訳ではない

あなたはユーチューバーになりたくて、動画を何本か作って投稿したんだよね。
漠然と「なりたいな~」って思うだけじゃなくてちゃんと行動して、動画を取って、編集をしてYouTubeに上げる。
そうやってつんだ経験値は宝物だし、やめたからってなくなったりはしないのよ。

やりたい事はやりたいと思った時にやったほうがいいし、どうしてもできない気持ちになってしまったら手放してもいい。

私が役者になるのを諦めて、目標が何もなくなった時はとにかくめちゃくちゃ働いてみたの。

元カレがコールセンターで派遣バイトをしててすごく楽しそうだったから、電話対応っていう仕事がちょっと気になってた。それから元カレとは違う会社に入って、電話を取りまくったの。
働く先の決め方なんて、「夢!」とか「希望!」みたいなたいそうな理由はなくても平気。「ちょっと気になる」ぐらいで大丈夫。

心からやりたい仕事だった訳ではないけど、働いてるうちにコツをつかんで受電業務がすごく楽しくなってきて、正直「死ぬまでこのバイトでもいいかも」って思ってたぐらい。
で、目標も夢もないから「とりあえず今自分にできる一番ためになる事をやろう~」ってお金を貯めまくった。

お金はいつでも自分の事を助けてくれる。マジで

200万円ぐらい貯金ができた時に、お店をやっている知り合いから「海外旅行に行くから、住み込みで1ヵ月お店を好きに使っていいよ」って言われたの。

派遣先は1ヵ月の休みを取ることが不可能だったから一旦辞めさせてもらって、預かったお店で趣味で描いてた絵を展示したんだけど、その展示が楽しかったから「いけるっしょ!」ってまた根拠のない自信を持って、そのままイラストレーターになっちゃったの。なんて適当な人生なの!

最初の方はお金を稼げない時もあったけど、貯金にたくさん助けられたわ。
少し奮発していい生地のTシャツを作って販売したりもできた。
だれにも頼れない!って思った時に頼れたのはいつもこの貯金だったわ。だからお金は大切。

お陰で今、私はイラストレーターになっているし、イベントに呼ばれた時とかテレビに出る時は養成所で習った事をちょっと使ってみたりとか、お仕事のメールや電話ではコールセンターで学んだテクニックを使っちゃったりしてる。

結局途中で投げ出してしまった事でも、一生懸命取り組んでいたのなら、いつかそのスキルは絶対に役に立つ時がくるはずよ。

人間は何歳になっても夢を見つけていいし、追いかけてもいい。なりたいもの見つけるスピードはバラバラ

やっと結論になるんだけど(長くなっちゃったわね!)気力がないうちはとにかく働いて、将来やりたい事ができた時のために貯金するといいんじゃないかな。

新しい夢はいつ持ってもいいんだよ。30歳で囲碁のプロを目指してもいいし、40歳でマラソン選手になりたくなってもいいし、80歳でダンサーを目指したって、90歳でバンドを始めたっていいの。
職業じゃなくても、家を買いたくなったり車を買いたくなったり、犬を家に迎え入れたいなと思うのも夢だし、万が一夢が持てなくても、お金はいつだってあなたを助けてくれるわ。

今は少しお暇を貰うつもりで「ちょっと気になる」お仕事やバイトを探してみるといいんじゃないかしら!

何となく気になって流れ着いた先で、自分のやりたい事が突然見つかるかもしれないし。私はあなたの人生丸ごと応援しているわよ!

明日のあなたが今日より笑って過ごせますように♡
ではまた次回、ここでお会いしましょう。

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原田ちあき
イラストレーター・漫画家
大阪在住のイラストレーター・漫画家。よいこのための悪口メーカー。書籍「手から毒がでるねこのはなし」「誰にも見つからずに泣いてるきみは優しい」等/連載「やはり猫にはかなわない」