編集部員――浅田さんは恋愛コラムニスト。でもアイコンはマジシャンで、「令和の魔法使い」を名乗っており、オンラインの恋愛神社と呼ばれていると。……つまりコラムニストなのか、マジシャンなのか、魔法使いなのか、まずは情報の整理のため、簡単な略歴を教えてもらえますか?
浅田さん
「おおまかな流れは、大学生からサラリーマンになることなく、マジシャン→恋愛コラムニスト”令和の魔法使い”→オンライン恋愛神社と呼ばれ始めたという感じですね。昔から魔法とか、そういう世界がすごく好きだったんです。それで大学を卒業した後マジシャンになりました。今も大阪でマジックバーを経営していて、トランプマジックなどをやっていますよ。さすがに本当の魔法がないということはわかっていますが、色々種や仕掛けを考えると、魔法のようなものは生みだせると思ってます」
編集部員
――今も現役のマジシャンなんですね。そして魔法の世界がお好き。そうなると、魔法とマジックは確かに親和性があるように思いますし、マジシャンと「令和の魔法使い」の肩書きはなんとなく繋がります。では、恋愛コラムニストになったのは?
浅田さん
「昔から、文章を読むのも書くのも好きでした。大学は京都でしたが、本を読みたくて2年間、長く在籍してたんです。朝図書館に行って、ソファーで寝ころびながら本読んで、夜になったら帰るみたいな生活。もともとマジックみたいになにかを表現するのが好きでしたから、1日に8~10時間、ものを書くのを8年間くらい続けた時期もありましたね。いつか必要になるかもしれないと思って、マジシャンをやりながら心理療法の勉強や文章の修行もやってました。我ながら気ままに生きてたわけです。それで”もっとおもしろいこと、魔法っぽいこと”はできないかな? と考えていたとき、あるメディアに声をかけられて恋愛コラムを書き始めました」
編集部員
――恋愛コラムは、浅田さんにとって魔法っぽいことなんですか?
浅田さん
「僕にとって魔法は、“他人を変える”ってことなんですよ。良い意味で。そのために文章というのはすごく使える。マジックと恋愛コラムは突拍子もない組み合わせに見えるし、マジシャンの枠を超えていると思われるかもしれないけど、僕にとっては恋愛コラムも、マジシャンの続きをやっている、魔法を作り続けているという感覚です。マジシャン2.0というか。やっていることは一貫しているつもり」
編集部員
――なるほど。マジックと恋愛コラムは、「良い意味で他人を変える魔法」を使うための手段という意味では、同じなんですね。マジシャンでも恋愛コラムニストでも、魔法使いであるということに集約されると。
編集部員――浅田さんのコラムやX(旧Twitter)での呟きは、女性に寄り添うような、あたたかい口調が特徴的ですよね。男心を語ることもありますが、多くは女性側の毅然とした心持ちや振る舞いについて言及していて、男性のコラムニストとしてはめずらしい気がします。「どうしてそんなに女心がわかるの?」というリプも散見されますが、浅田さんのそのスタンスはどこからきているのでしょう? また、魔法を使ううえであえて「恋愛」コラムというものを選んだ理由はあるのでしょうか?
浅田さん
「僕、姉と妹に挟まれて、女子トークの中で生まれ育ちまして。前々から女子から相談を受けることが多かったんです。例えば、単に学校のクラスとかパーティー会場とかで時間を過ごすと、いつのまにか女子と恋バナしてる……みたいなことが多くて。僕が心理療法や心理学を勉強していたから相談しやすいというのもあるでしょうけど、それがなくてもシンプルに波長が合うんでしょうね。女性の感性とか考え方とか、共感できるんですよ。それで、” 恋愛が世の中の幸せを左右してるな”と気づきまして。世の中の悩みの多くは、恋愛じゃないかと。だから恋愛コラムという形で、お届けすることになったんです」
編集部員
――ありがとうございます。やっと、魔法使いとマジシャンと恋愛コラムニストが、全部繋がりました(笑)
そんな浅田さんの語り口は、女性に寄り添うだけでなく、いつも物腰柔らかく「あなたが幸せになるためには」「あなたは幸せにならなきゃいけない」ということ、「自分を大切にしてください」ということを訴えています。胸に刺さるけど、あくまで優しくて、そこも女性たちに支持される理由だと思うのですが。
浅田さん「幸せにならないといけない、というのは、当たり前のことでしょう。心がけていることは明確にあって、精神論ではなくて具体的に語ること、肯定的に語ること」
「例えば本命の彼に好かれたいならこういうことはしちゃだめって、よく聞きますけど、そういうのは言いやすいんですよ。だめなことを見つけるのはみんな得意だから。でも、だめならじゃあどうすればいいの? という問いに答えられる人が少なくて。恋愛コラムはたくさんあるし、確かに刺さるんですけど、で、実際どうしたらいいのか? に触れていないものが多いような気がします。浅田さんはそこを書いてくれるから、わかりやすいと言っていただくこともあります。なにが正解なのかみんなわからないまま、だめなことにばかり目を向けていても、それではやっぱり幸せになれないと思うんですよ」
「生きづらさを書くだけではなくて、その先の、生きる方法を書きたい。生きづらさを語るだけで慰められた時代もあったと思うんですけど。またひとつ厳しい時代になったなとは思うんですよ。だから生き抜く方法を書きたいんです。恋愛コラムにも、まだできることがあるんじゃないかと思っています」
「あと、客観的に書こうとしていますね。自分がこう思うって主観を語る人は多いんですが、僕はデータとか心理学とか客観的な事実を語っているだけです。経験則って、裏切るときもあるなとは思ってるんですよ。そのとき、たまたま当てはまっただけで、みたいな。自分(の恋愛など)について語らないのはそれもありますね」
編集部員――そのような信条が多くの女性たちに受け入れられ、今は人気コラムニストというだけでなく、X(旧Twitter)では「フォローすると恋が叶う」オンライン恋愛神社と呼ばれていますね。そんなふうになる前から浅田さんのアカウントを拝見していたのですが、「浅田さんに恋愛成就をお願いしたら叶った」と誰かが言い始めて、あっという間に噂が広まって、「この人は本物だ」という流れができて。神様が生まれる瞬間を目の当たりにした感じでした(笑)最初は戸惑ったのでは?
浅田さん
「オンライン恋愛神社は……もう一周回って受け入れているんですけど(笑)きっかけはフォロワーさんが言い始めただけなんですよ。それで、こんなことを言われてます、って聞いて、なんやこれ? って言ってるうちに広まって。初期はDMで“おかげさまで恋が叶いました”っていう報告メールが1日に100件200件届くだけだったんですけど、いつのまにか絵文字……規格も統一され始めましたね」
編集部員
――浅田さんにお願いしたり、恋愛成就の報告をしたりするときに必ず使われる絵文字の組み合わせですね。多くは、鳥居の絵文字+手を合わせている絵文字+ハートまたはキラキラの絵文字のようです。ルールって勝手にできるものなんですね。
浅田さん
「最近は、ツイートのリプ欄もそれで埋め尽くされて、僕のツイートが参拝の時間をお知らせしてるみたいになってきて。最初は本当に混乱してたんですけど、今は、もうこれはこれでいいかなと思っています。神頼みしたくてもコロナで外出すらままならないから、オンライン上に神社があっても、救われる人がいるならいいかなと。心理学的にも、心をゆだねる場所があった方が良いのは確かなので、誰かの心が軽くなるならそれでいいかなと思っています」
X(旧Twitter)でひそかに参拝者を増やしている「オンライン恋愛神社」は、人気コラムニスト兼現役マジシャンであり、令和の魔法使いでもある浅田悠介さんが運営しています。神社なのか、魔法使いなのか、マジシャンなのか、コラムニストなのか?ちょっと混乱してしまいますが、つまり幸せになりたい人の心強い味方という理解でも十分かもしれません。charmmyでは浅田さんのコラム「恋して委員会」も毎月連載しています。