恋愛も仕事も、どちらも充実した人生を送ることができたら最高に幸せですが、二兎を追う者は一兎をも得ず──なんてことわざもあるように、どちらも100%充実している!というのは、なかなかどうして難しいものです。
ですが、そもそも恋愛と仕事の両方を充実させたいと思うのなら、まずは“食べること”が大事なんじゃない? 女性たちよ! という問いかけがテーマになっているのが、今回ピックアップした映画『食べる女』。筒井ともみさんの小説「食べる女 決定版」の映画化です。
食事の大切さを教えてくれるトン子
恋愛や仕事よりも食べること? と思うかもしれないですが、たとえば──風邪をひいて身体がだるいときは、どんなに好きな人であっても、デートもセックスもしたいと思わないですし、できることなら仕事だって休みたい……ですよね。でも、美味しいゴハンは食べたい!
日々の生活のなかで、美味しいなぁ、幸せだなぁと思える食事には、実はもの凄いパワーがあって、そんな食事の大切さを教えてくれるのが、この映画の主人公トン子(小泉今日子)です。
恋愛に仕事に悩める8人の女たち
トン子は雑文筆家であり古書店を営んでいます。迷える女性たちにおいしいゴハンを食べさせて元気にするのが大好きで、彼女の所にはいろいろなタイプの女性が集まってきます。
・男をよせつけない書籍編集者
・いけない魅力をふりまくごはんやの女将
・2児の母であり夫と別居中のパーツモデル
・ぬるい彼に物足りないドラマ制作会社のAP
・求められると断れない古着セレクトショップ店員
・料理ができないあまり夫に逃げられた主婦
・バーの手伝いをしながら愛をつらぬくタフな女…etc
なんか分かる…という共感の連続
8人それぞれ恋愛においても仕事においても悩みを抱えていますが、美味しい食事と女同士の楽しい会話を通して、自分はどうしたいのかを考え、自分なりの答えを出そうとします。
そこには、おそらくすべての女性が共感する要素があって──8人全員に共感する人もいるでしょうし、そのうちの誰かの境遇と重なる人もいるでしょう。
私、仕事し過ぎかな? ずるずる付き合っているけど彼と一緒にいていいのかな? うんと年下の男とつき合うのもありかも! やっぱり料理を頑張ってみようかな……など気づきをもらえるはずです。
女優たちが演じる様々な女の人生
8人のヒロインを演じる女優がこれまた豪華! 小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、山田優、壇蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香。
なかでも特に魅力的に映るのは、トン子役の小泉今日子と、ごはんやの女将役の鈴木京香ではないでしょうか。50代、独身、子供なしの彼女たちが等身大の役を演じることで、いろいろな人生があっていいんだ……と勇気をもらえます。
そして勇気をもらいつつ大切だなと思ったのは、どんな時も自分自身の心と体を満たしてあげること。
トン子のセリフに──
「人ってね、美味しいゴハン食べているときと愛しいセックスしているとき、暴力とか差別とか争いごとから遠くなるんだって。でも、セックスは相手がいないとできないけれど、ゴハンならいつでもできるでしょ。だから、手抜きをするな女たちよ──」
ものすごく納得! というわけで、まずは美味しいゴハンから始めたら、自分を満たしてあげたら、恋愛も仕事もどっちも手に入りそうな気がしてきました。
『食べる女』
9月21日(金)公開
監督 生野慈朗
出演 小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、山田 優、壇 蜜、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香 ほか
PG12
http://www.taberuonna.jp/
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