旅に出たくなるのは、どんな時ですか?
自由な時間があった学生時代は、いろんな世界を見てみたい! という好奇心から旅をしていました。
ただ、時間はあるけど予算は限られているので事前に情報を集めて、プランを練って、かなりの貧乏旅行。けれど最高に楽しい旅行でした。
その当時はインターネットが普及し始めたばかりで、情報集めはもっぱら「地球の歩き方」といったガイドブックや旅行会社が発行している冊子。
資料片手に地図を広げて、何処へ行くか相談する。旅に出る前から旅が始まっているようで、それはそれで楽しかったです。
今はスマホひとつあれば準備はOK。地図も行きたいお店もおすすめスポットも検索できるので、本当に便利な時代です。
大人になってからの旅に出たいと思うきっかけや目的は変わったように思います。
いろんな世界を見てみたいというのは変わらずあるのですが、それとは別に、無性に旅に出たくなる時があるのです。
仕事が忙しくてふと立ち止まったとき、失恋をして今いる場所じゃないどこかへ行きたいとき、ストレスを発散したり癒されたいとき、旅に出たくなります。
大好きな映画に『ブロークン・イングリッシュ』があるのですが、この映画のヒロインは、恋した人を追いかけて、ニューヨークからパリへ旅に出ます。
仕事中心の日々を送っていたノラ(パーカー・ポージー)は、親友が結婚したこともあって、将来に焦りを感じていました。
そんなある日、とあるパーティでフランス人のジュリアン(メルヴィル・プポー)と出会い、恋に落ちるのですが、「一緒にパリへ行こう」という彼の誘いを受け入れることができなかった。
傍から見たら、運命的な出会いなのにどうして一緒に行かないの? どうして彼を信じられないの? と思うでしょう。
でも、いろんな経験をしてきたアラサーの女性にとっては、ときめいたから、だけでは飛び込めない。その葛藤もすごくわかります。
悩んで、友人に背中を押してもらって、自分で決断して、ノラは旅に出ますが、パリへ行って、果たして彼と再会できるのか──という、そこからがこの映画の面白いところ。
旅に出たいけれど出られない……そんなときは決まってこの映画を見ている気がします。
そして、旅先にノラとジュリアンのような出会いがあるかもしれない! そんな期待を抱いて旅に出るのも大人の旅の楽しさのひとつだと思います。
少し前に、手のひらサイズの翻訳機「POCKETALK」(63の言語の通訳が可能!)を手に入れたこともあり、旅に出たくてうずうずしています。
もちろん、旅先での素敵な出会いも期待しています。(text:Rie Shintani)