ジェーン・オースティンの小説、読んだことありますか? 読んだことがなくても、映画作品を通してジェーン・オースティンだと知らずにその世界に触れているかもしれません。
たとえば、
「分別と多感」 →『いつか晴れた日に』
「高慢と偏見」 →『高慢と偏見』『プライドと偏見』『高慢と偏見とゾンビ』
「エマ」 →『エマ』『クルーレス』『Emma エマ』
また、彼女自身の伝記も『ジェイン・オースティン 秘められた恋』として映画化。ロマコメのヒット作、映画『ブリジット・ジョーンズの日記』にも「高慢と偏見」の要素が入っているんです。
今回は『プライドと偏見』を題材に、男女が恋に落ちたときの行動、心理を読み取ってみようと思います。
物語の舞台は、18世紀イギリスの田舎町。女性が自立して(働いて)生活していくのは難しく、良い結婚相手と出会えるかどうかに人生が左右される、そんな時代でした。この映画の主人公エリザベス・ベネット(キーラ・ナイトレイ/写真は2005年NYプレミア時のキーラ)は、5人姉妹の次女。
ある日、資産家のフィッツウィリアム・ダーシー(マシュー・マクファディン)と出会いますが、無愛想で気難しそうな彼に対する第一印象は最悪でした……。
最悪な印象から恋に発展する──というのは、恋愛映画でよくあるパターンですが、久々にこの映画を見直して思ったのは、最悪だと思う=その人に何か期待していたものが裏切られた=最初から気になる存在だったということ?
映画の冒頭のダンスシーンに、それがよく表現されています。互いに相手を意識していて、男は興味がないと言いながらも無意識に女の姿を追い、女もその視線に戸惑いながら男を意識する。もう恋は始まってるじゃないですかー! というシーンです。そこから読み取れるのは、目がよく合う人とは恋が始まる可能性大ということ。
たしかに第一印象は大切ですが、ダーシーのように社交的ではない人だっている。エリザベスはダーシーのことを「なんて高慢な人なの!」と偏見から決めつけてしまい、本当は彼のことが気になっていたのに、「こんな人とは恋に落ちない!結婚なんてしない!」と彼を否定して、さらに彼の悪い噂話を信じてしまいます。
ここにも学びポイントがあります。出会った瞬間というのは、見た目や肩書きに惑わされて、その人の本質が見えにくい。だからこそ、周りの噂話でその人を評価するのではなく、自分の目で確かめることが大事なのです。
ダーシーの場合、この人はどうして無愛想なんだろう? と考えることで見えてくるものがある。
実際、以前この映画を見たときは、男と女のプライドのぶつかりあい、偏見(=誤解)が恋愛をややこしくすることを描いたラブストーリーだと感じました。
今回それがどう変化したのか──ダーシーのエリザベスを見つめる眼差し、彼女のために何ができるかを考える優しさ……たとえ偏見を持たれていても“彼女を愛している”ことに対するプライドを貫く。そんなダーシーが、とても誠実で格好良くて、理想の男性! に思えたのです。