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毒親育ちでも「負の連鎖」は防げる!引き継がないための毒親診断チェック

いうことをきかない子どもについカッとして手をあげてしまったり、感情にまかせて怒鳴りつけてしまったときの、あの後悔と罪悪感…。誰だって子どもには幸せになって欲しいし、毒親にはなりたくない。とはいえ、子育ての正解はすぐにはわからないもの。だからこそ、この育て方でいいのか不安になるのではないでしょうか。

果たして毒になる親とはどのような親なのか…。心理カウンセラーのサクちゃん先生の実体験やアドバイスをまじえながら、“毒になる親”を紐解いていきたいと思います。

目次
1.毒親と毒親育ちの子どもの特徴
[1]毒親とは
[2]毒親の特徴
[3]毒親育ちの子どもの特徴
2.毒親的な価値観と言動
・毒親診断チェック
3.症例「毒親の負の連鎖」
4.毒親にならないためにできること
5.まとめ

1.毒親と毒親育ちの子どもの特徴

[1]毒親とは
毒親という概念は、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードが著書『TOXIC PARENTS』(日本語版『毒になる親 一生苦しむ子供』)で、「子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親」を指す言葉として使われたのが始まりです。虐待やネグレクトといった即効性のある毒だけでなく、過干渉あるいは過度の無関心によって引き起こされる、自尊心の低下、自分や他者への信頼感の喪失など遅効性の毒もまた毒親による害悪。その後の人生をも左右する深刻なダメージを与えるのが毒親という存在です。

[2]毒親の特徴
子どもを支配することでその後の人生に深刻なダメージを与える毒親という存在。どういった親が毒親にあたるのでしょうか。誰の目にもはっきりとわかるのは日常的に暴力を振るったり、ネグレクトをする“劇毒な親”でしょう。また、一度であっても子どもの心に計り知れない致命傷を与える“性的虐待を行う親”もまた劇毒な親です。こういった“劇毒な親”以外にも子どもに徐々に毒を含ませる親は様々に存在します。ここでは“劇毒な親”以外の毒になる親を大きく4つのタイプにわけて解説します。

・過干渉な親
子どもが小さいうちは「ここまでは愛情、ここからは毒」と線を引けるものでもありません。しかし、過干渉な親の場合は子どもが中高生になってもなお、「あなたのためを思って」という“愛情”を建前とした強制力が特徴です。意に沿わない行動をとろうとしたときには、それがどれだけ親を悲しませ傷つけるものか、世間的に恥ずかしいことであるかを“ほのめかして脅す”のも常套手段。支配することに執着する親は、子どもが自分の力で人生を切り開いていく力を奪います。

・無関心な親
子どもに目も心も向けていない無関心な親もまた毒になることがあります。父親が家庭を顧みない無関心タイプで、夫婦関係をあきらめた母親が子どもに依存して過干渉になるというセットアップは毒親によく見られるパターン。また、あからさまに無視や放任をしていなくても、「長男は跡取りだから」と兄や弟ばかりが優遇されている、病気のきょうだいがいて両親のケアが自分まで行き届かない、借金やなど他に大きな問題を抱えている場合など、結果的に放任されてしまっているケースもあります。

・否定する親
「あんたなんか産まなきゃよかった」、「おまえなんか死ねばいい」…。子どもの存在を否定することも毒親に分類。また、「恥ずかしくて近所に顔向けできない」「なんでそんな変な格好するの」といった子どもの行動や個性を否定する言葉、「失敗するに決まっている」など無力感を植えつける言葉も日常的に続けば毒となって心を蝕むことに。やってはいけないことをストレートに注意するのではなく、「弟を叩くなんてひどいお兄ちゃんだね」といったように、人格否定でコントロールしようとするのもこのタイプの特徴です。

・ケアが必要な親
アルコールや薬物、ギャンブルなど何かしらの依存症の親、精神障害や人格障害の親の場合は子どもが置かれた状況はより深刻です。親の顔色や体調、メンタルの調子をうかがいながら神経を研ぎ澄まして生きる日々は安心や安全とはほど遠く、地雷原で日常生活を送るようなもの。自尊心うんぬん以前に、子どもから根源的な安心感や他者への信頼感を奪います。

[3]毒親育ちの子どもの特徴
毒親に育てられた人の中には、自分に自信が持てなかったり、ストレスフルな人間関係に身を置きがちだったりと、大人になってから様々な“生きづらさ”を抱える人も多いそう。その中でも特に抱えがちな“生きづらさ”とは、一体どういったものなのでしょうか。

・自尊心が低く自己否定感が強い
適切な愛情を注がれて育った子どもは、「どんな自分であってもOK」という自分の存在を無条件に肯定する自己肯定感が育ちます。しかし、毒親育ちの子どもは、「できる自分でなければ受け入れてもらえない」という条件付きの愛情を植えつけらます。できてあたりまえ、できなければ拒否される。その切迫感が根底にあるため、できなければ必要以上に自分を責め、できたらできたで完璧主義に傾倒するなど “いい塩梅”というバランスに欠け、「ありのままの自分でいい」という、自分と他者への信頼感が損なわれてしまうのです。

・自分の気持ちがわからない
長年抑圧されたせいで、そもそも自分は何が好きで、何をしたいのか、どういう状態に幸せを感じるのかがわからない…。本当は怒りを感じているのにそのことに気がつかないというのも毒親育ちあるある。その場で感じるべき違和感に対して感受性が出遅れるため、異議を投じる瞬発力に認知が出遅れるという致命的なミスを起こします。怒るべきときに怒り、言うべきときに言うというタイミングを逃すことは、その場で異議申し立てができないため、結果的にストレスフルな人間関係を作りあげてしまうことに。

・まわりの目が気になりNOと言えない
「ありのままでいること」を許されなかった子どもは、自分への信頼感も他者への信頼感も希薄…。親の気に入るように振る舞わなければ受け入れてもらえなかったため、その場の人間関係に必死にならざるを得ません。断ることにも強い罪悪感があるので、単純にNOと言う場面ですら“一大決心レベルの大事”。総じて空気を読みすぎるふしがあり、息苦しい毎日を送りがちです。

・慢性的な空虚感から何かに依存しやすい
親の支配の元、自我を殺し続けて育った毒親育ちの人は、自分という輪郭がぼやけることから空虚感を抱きやすいといいます。空虚感とは心に穴が空いたような虚しく満たされることのない心持ちのこと。何をやっても満たされることのない状態は耐え難いものです。ですから、いっときでも充足した気持ちになれるのであれば、不幸が約束されたものですらすがらずにはいられません。それだけ空虚感とは辛いもの。空っぽな気持ちで生きるよりはマシだと感じてしまうのです。

2.毒親的な価値観と言動

ここでは毒親がとりがちな行動や毒親自身のパーソナリティーを、心理カウンセラーのサクちゃん先生にピックアップして頂きました。「自分は毒親なのではないか」あるいは「自分の親は毒親だったのではないか」と気になる方はチェックしてみてください。

・毒親診断チェック
①「あなたのためを思って」が口癖
ことあるごとに、子どものためを思ってやっているということを強調する。

②伝え方がまわりくどい
「~〜してはいけない」「~〜してほしい」とシンプルに伝えるのではなく、「〜〜しないともう知らないよ」など、常にまわりくどい言い方をする。

③人間関係に口出しする
「○○ちゃんとは遊んじゃダメ」など、つき合う友だちに口を出したり子どもの人間関係に干渉する。

④世間体が第一
子どもの気持ちよりも周りにどう見られているか、どう思われているかを基準にして判断する。

⑤子どものプライバシーを侵害する
子どもが中学生以上になっても持ち物をチェックしないと気が済まない。日記など子どもが秘密にしたいものも勝手に読む。

⑥子どもは所有物という感覚がある
子どもは、親の管理下にある所有物に近い存在であると思っている。自分とは別人格の一人の人間という意識が薄い。

⑦親の意向に逆らうことは裏切りと受け止める
子どもは親の言うことを全面的に聞くもの、親に逆らうなどとんでもないと思っている。

⑧親の意向にそわせる
子ども本人が決定したことを覆し、あの手この手で最終的に親の意向通りに動くよう仕向ける。

⑨依存心が強く不満を抱えている
自分の意思を伝えないまま、「~してくれなかった」と他人のせいにするにするような愚痴が日頃から多い。

⑩被害者意識が強い
自分はかわいそうだと何かと悲劇のヒロインになりたがる。そしてその「かわいそうな私」に同情を集めるべく子どもや家族にアピールする。

〜サクちゃん先生の解説〜
チェックに当てはまる数が多ければ危険、少なければ安全というわけではありません。『毒親はこのような行動を取りがち』というだけで、この行動が即「毒親」に結びつくものではないからです。また、当てはまる項目が多かったからといって悲観することもありません。

ご自身の毒親的な行動傾向を認識できたことは、気をつけるべき自分を知れたということ。体調不良でも機械の故障でも不具合を“認める”ところからスタートしますよね? それと一緒で、自分で自分を“認める”ことができたのならば、あとは認めた自分をどう扱っていくか。この意識を、どう行動に移すかが分かれ道となるのです。

3.症例「毒親の負の連鎖」

その後の人生を“生きづらいもの”にしてしまう「毒親の呪縛」。毒親による影響は、子育ての場面ではどのような問題となって現れるのでしょうか。心理カウンセラーとして子育てに悩む母親たちのケアにあたっている、サクちゃん先生のケースをご紹介します。

・親から子へと受け継がれた『体罰』
いうことをきいてくれない子どもにどう対応していいかわからず、『体罰』で対処していたというサクちゃん先生。自分自身もまた、子どもの頃に母親から体罰を受けていたといいます。

「しかし、体罰では状況は全く改善しないどころかますます悪い方向に…。子どもへの罪悪感、自分への嫌悪感。悩む日が続きました」

体罰を加えること自体にも何ともいえない違和感があったといいます。そしてこの違和感がそれまでの母親との関係に目を向ける契機となり、母親が毒親だったことに気づかされたのだそう。

・そのやり方しか知らない
母との関係を見つめ直すなかで、『体罰は間違っている』ことを改めて感じたサクちゃん先生。

「子どもの頃、母からの体罰はとても悲しく嫌な経験でした。体罰を加えたとき、私が感じていた違和感は『本当はしたくない』という気持ち。したくないことをしていることへの違和感だったのだと思います。にも関わらず、同じことをしてしまう自分…」

なぜ、自分がされて嫌だったことをしてしまうのか。

「その理由は、自分が幼少期にされたこの子育ての方法しか知らないからです。他のやり方を知らないので、意に反したことでも同じやり方をしてしまう。それが私の問題でもあり、多くの悩めるお母さんが抱えている問題でもあるのだと思います」

そのやり方しか知らないのなら、他のやり方を知ればいい。そこに気づくことは、子育てをする上で大きな助けになるとサクちゃん先生はいいます。

引き出しの中の経験が毒になるのなら、別な引き出しを作って方法をストックしていく。カウンセラーなど専門家に、引き出しの中身を増やしてもらうのも選択肢のひとつなのかもしれませんね。

4.毒親にならないためにできること

子どもにとって“毒”にならないようにするには、どんな心構えで向き合っていけばいいのか。指針となるものがあればぜひ知りたいところ。サクちゃん先生に、毒親にならないための対策をうかがいました。

・意識の持ち方
「子どもが自分で羽ばたく力を伸ばしてあげることは愛情ですが、羽ばたく力を奪ってしまうのは支配です。『良かれと思って』『子どものためを思って』と、お子さんをコントロールしてはいませんか? 今日から『子どもの翼を折らないこと』を意識してみてください。

また、子育てに悩んだときは周りや専門家に相談するなどして、一人で抱えこまないことも大切です。くれぐれも自分一人で頑張って解決しようなどと思わないでください」

・毒親育ちの自覚がある場合
「自分の親が毒親だったという自覚がある人は、親に相談するのは避けましょう。毒親から間違った意識を植えつけられ、コントロールされるのを避けるためです。

自分と『毒親』との間に境界線をしっかりと引き、自分が誰の目を気にしているのか、一度考えてみてください。世間体でしょうか? それとも自分の母親でしょうか? それを自覚した上で、あらためて『自分は、本当はどうしたいのか?』胸に手を置いて考えてみてください」

・子どもは笑顔のお母さんが大好き
「子どもはお母さんが笑顔でいることを一番に望んでいます。お母さんが笑顔ならば、子どもも笑顔でいられるのです。まずは、毎日、自分が笑顔になれることを、一つ一つ選んでいってください。

状況を変えるには、相手を変えようと思うよりも、自分が変わること。それが一番の近道でもあり唯一の方法なんです」

5.まとめ

毒親育ちのトラウマから未だ逃れられず生きづらさを抱えている人、ついカッとなって怒りを爆発させてしまう人…。そんな自分に苦しんでいる人は、カウンセラーに一度相談してみてはいかがでしょうか。

たとえ毒親育ちであったとしても「負の連鎖」を断ち切ることができ、そして、自分の代から幸せな「正の循環」を生み出すことができるのです。

子育ての方法は、あなたが教わったその一つだけではないのですから。



【協力してくれたカウンセラー】
自身の実体験をもとに、子育てに悩む親へアドバイス。専門分野は子育て、人間関係、性格の悩み。「自分らしく楽に生きられるカギ」をモットーにした、心に寄り添うカウンセリングが話題。
charmmy編集部
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