子宮口が全開しているのになかなかお産が進まない…。それによって赤ちゃんが苦しくなるなどして早く分娩する必要がある場合、その頭を吸引器で引っ張り出す「吸引分娩」を行うことがあります。
まだ柔らかくてデリケートな赤ちゃんの頭を思いっきり引っ張らなければいけないので、自然分娩と比べて当然リスクもつきもの。実際、娘の頭の形もいびつになってしまいました。
しかし、そもそも先生が吸引分娩を判断されたということは、“吸引分娩が必要になるくらい一刻を争う状態であった”ということでもあるんですよね。
吸引分娩はリスク以上にメリットがある場合のみ行われることです。例えそれによって一時的に赤ちゃんの頭が痛々しい姿になってしまっても「あーあ、吸引分娩のせいで」と落ち込むのもなんか違うのかなと、経験したわたしは思いました。
分娩台で初めて娘と対面したとき、顔の2/3が頭で構成されてるその異様なフォルムにとても驚きました。先生は「大丈夫、自然と戻っていくから」とおっしゃっていましたが、くっきりと丸い吸引器の痕が残った長い頭を眺めては、本当に元に戻るのかと不安になりました。
しかし出産から数ヵ月が経ったある日、“そもそもわたしは娘の頭の本来の形というものを知らない”ということに気づきます。
七福神に見慣れてきたのか、わたしは“娘の長い頭は吸引分娩の後遺症ではなく、生まれつきそうだったんじゃないか”と考えました。現に夫はめちゃくちゃ顔がでかいのです!
夫はそう言って落ち込んでしまいましたが、しばらくすると「身長がよその赤ちゃんより頭ひとつぶん出てる!娘は背が高いほうかも!」と喜んでいるようでした。
もちろん、“頭ひとつぶん出てる”のではなく“頭がひとつぶん長い”ということなんですが。我が子のこととなると、頭が長いのも足が長いのも同じことのように可愛く思えてしまうものなんですよね(笑)
その後、紆余曲折ありつつも、娘の頭は1年かけてちゃんと短くなっていきました(同じく吸引分娩した友人は、1ヵ月程度で戻ったらしいんですけど!?)。
そして“頭ひとつぶん”なくなった娘は本来の小柄さを取り戻したようで、最近の我が家では「娘の背が低いのこそ夫の遺伝子だよね!」とネタになっているのです。