charmmy TOPライフスタイル映画の舞台となり一躍観光スポットになった北欧のあの街へ

映画の舞台となり一躍観光スポットになった北欧のあの街へ

映画を見て色々と影響されること、ありますよね。 

あのシーンに出てきた料理を食べてみたい、実際に撮影されたロケ地に行って同じ風景を見てみたい、主人公と同じ体験をしてみたい、映画によって影響の受け方はざまざまです。 

私がいま“してみたい”のは、ボストンバッグひとつの身軽さで、読みたい本を数冊持って、カフェやレストランやホテルでゆったり読書をして過ごす旅。 

その候補地は──映画『かもめ食堂』の舞台となったフィンランドの首都ヘルシンキです。 


女性が憧れる街ヘルシンキ

『かもめ食堂』が公開されたのは2006年。もう12年も前なんですね。

当時、映画を見る前までのフィンランドのイメージは、オーロラ、マリメッコやイッタラなどの北欧雑貨、サンタクロース、ムーミン……という感じでしたが──

映画を見て「なんて素敵な街なの!」と、あのゆったりと流れる時間や雰囲気に惚れてしまった。

ヘルシンキが女性の憧れの街として注目されたのも、おそらくこの映画がきっかけだったと思います。


かもめ食堂からラヴィントラかもめへ

映画のなかで“かもめ食堂”として登場するのは、ヘルシンキに実在する「カハヴィラ・スオミ」という食堂でした。

撮影後はヘルシンキの人気観光スポットとして賑わっていましたが、2015年にオーナー夫婦のリタイアで閉店。その後、2016年に新しいオーナーによって「ラヴィントラかもめ」としてリニューアル。

映画でお馴染みのシナモンロールはもちろん、フィンランドと日本の文化を掛け合わせた料理を提供しているそうです。


街歩き&カフェめぐりという旅スタイル

せっかくヘルシンキへ行くなら「ラヴィントラかもめ」だけでなく、『かもめ食堂』に登場したロケ地も巡ってみたいですよね。

かもめ食堂で働くのはオーナーのサチエ(小林聡美)、旅でヘルシンキを訪れていたミドリ(片桐はいり)、同じく観光客のマサコ(もたいまさこ)、3人の日本人女性たちです。

サチエとミドリが出会う書店はアカデミア書店。2人が買い物をするのはハカ二エミ 市場。

また、定休日に彼女たちがお洒落をして過ごしたカフェ ・ウルスラ。サングラスをかけて横並びで海を眺めるシーンが印象的でした。


『かもめ食堂』が教えてくれること

『かもめ食堂』で描かれる、女性たちの生き方、暮らし方が素敵です。

食堂のメイン料理は“おにぎり”というポリシーを持ちながらも、シナモンロールに挑戦してみたり。こだわることを大切にしつつこだわりを解放していくことで、徐々に街に馴染んでいく。そこに生き方のヒントがある。

日々の生活のなかで息苦しさを感じると、ヒントが欲しくて、映画やヘルシンキの街に思いを馳せるのかもしれません。

オーロラを見に行く、クリスマスイベントを楽しむ、それは冬季の旅になりますが、『かもめ食堂』の世界観を味わうなら日が長くて過ごしやすい6〜9月がベストシーズンです。 

わざわざヘルシンキまで行かなくても、東京にも日本の街にも、かもめ食堂に似たカフェや場所はありますが、映画を見て「行ってみたい!」と、どうしようもなく心を掻き立てられる。その感覚は大切にしたいものです。

カフェで過ごす旅、日々を過ごす旅、それはある意味とても贅沢な旅だと思うのです。 

新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。