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本物の恋の正体が分かるロマンチックコメディ『恋人たちの予感』

恋の季節は? と聞かれて、思い浮かべる季節は人それぞれ異なりますが、「秋から始まる恋は本物」という話はよく聞きます。

【春】は始まりの季節で出会いが多い
【夏】は解放的な気分になるので恋が始まりやすい
【冬】はイベントが多いので好きな人と過ごしたくなる

それに比べると──
【秋】は恋愛的には変化のない季節かもしれません。

でも、そういうときに出会った人こそ運命かもしれない、本物の恋と出会う率が高いかもしれない……と考えると、秋はとてもロマンチックな季節といえます。

秋から始まる恋は本物なのか?

秋から始まる恋が本物だったとしても恋愛には正解がないので、自分自身が本物の恋かどうかを見極めなくてはならない。それが難しい……。

たとえば、自分が「この人が運命の人!」と感じても相手がそう感じていないことだってある、相手の心変わりで失恋して愛を信じられなくなることだってある、自分のことだからこそ見えなくなっていることだってあります。

そんなふうに迷ったとき、助けになるのはやっぱり恋愛映画。ロマンチックコメディの名作『恋人たちの予感』もそのひとつです。

恋愛迷子になったときのお助け映画

『恋人たちの予感』は1989年の映画で、ロマンチックコメディの女王メグ・ライアンとコメディアンでもあるビリー・クリスタルが共演しています。

物語は、彼らの演じるサリーとハリーの11年にわたる関係を描いています。初対面の印象がお互いにサイアクだったにも関わらず、5年後、さらに5年後に再会し、友だちとして会う機会が増えていく。

3度目の出会いで、サリーは恋人と別れたばかり、ハリーは離婚が決まった──お互いが恋愛に関して沈んでいるときに再会したというのも縁なのかもしれません。

こんな時どうしたらいい?の答えがある

この映画が恋愛の参考になるのは、サリーとハリーの11年を通して、人の感情がどのように動いていくかが描かれているから。

さらに、いつの時代も語られる「男と女の友情は成立するのか」問題もテーマのひとつ。

サイアクの第一印象だったのに、気づけば何でも話せる友人になっていて、そこから恋愛に発展するのかどうか……。

『恋人たちの予感』には、恋愛のすべての要素が入っていると言っても大袈裟ではないくらい、こんなときどうしたらいいの? という答えが、サリーとハリーの会話のなかに隠れています。

女性脚本家だからこそのリアルな会話

脚本はノーラ・エフロンという女性脚本家。サリーとハリーの会話がとても魅力的なのは、ノーラ・エフロンの生み出す会話が素晴らしいからだと、何度観ても思います。

彼女はハリウッド映画のロマンチックコメディのジャンルで、女性脚本家の活躍の場を切り開いた人でもあります。

男性とか女性とか関係ないのでは? という声も聞こえてきそうな現代ですが、この映画を見ると、女性の気持ちがとてもリアルに描かれていることに感動するはず。

特に、デリカテッセンで男女の恋愛観やセックス観について議論を交わすシーンは驚きの名シーンです。


サリーとハリーに教えてもらった本物の恋の条件のひとつは、恋愛観や人生観などどんなことでも語り合えること。

別れの原因に価値観の違いがよく挙げられますが、価値観は違って当たり前であり、違うからこその個性であり、違うことを含めて語り合えることが大事なのだと気づかされます。

見た目がタイプ、職業や才能に惹かれた、優しいところが決め手だった……など、この人が好き! と感じる点はいろいろありますが、この秋はロマンチックな出会いを期待しながら“語り合える人”を意識してみようかと思います。
新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。