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伝説のバンド〈クイーン〉を知るチャンス『ボヘミアン・ラプソディ』

映画を観て「面白かったー!」と感動に包まれたら最高ですが、「魂が震えたー!」という体験ができたら、もっと最高ですよね。

今回ピックアップした『ボヘミアン・ラプソディ』は、伝説のバンド〈クイーン〉の映画。

史上最高のエンターテイナーと讃えられているリード・ヴォーカルのフレディ・マーキュリーを中心に、クイーンのメンバーはどのように出会ったのか、名曲の数々はどうやって作られていったのかを描いたミュージック・エンターテイメントです。


イギリスのロンドンでクイーン誕生

クイーンは、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの4人で構成されたイギリスのロックバンド。

4人での活動は、1971年からフレディが45歳で亡くなった1991年までなので、世代的にクイーンを知らない人もいると思います。

けれど、曲を聴けば「ああ、あの曲だ!」と知っている曲は多いはず。この映画では、クイーン結成から20世紀最大のチャリティ音楽イベント「ライヴ・エイド」までの軌跡が映し出されます。


今も影響を与え続ける4人の音楽

レディ・ガガなど現在活躍する音楽人に大きな影響を与えてきたクイーン。

伝説のバンド、史上最高のエンターテイナー、音楽界を変えた……など、彼らを讃える言葉はたくさんありますが、彼らの曲を耳にしたことがあっても、その曲がどうやって生まれたのか、彼らがどんな人生を送ってきたのかは知らなかったりします。

この映画はドキュメンタリーではないですが、映画製作にあたっては、バンドメンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーがサポート、本人たちが製作に関わっているからこそのリアリティがあります。


フレディとして生きたラミ・マレック

まるで本物のクイーンが映画のなかに居るかのようなリアリティに驚きます。その中でもやはり特別に輝いているのはフレディ・マーキュリー。

フレディを演じるのはラミ・マレック。どんな人物であっても実在の人物を演じることは俳優にとって難しいものです。音楽ものとなると、そこに演奏力、歌唱力、パフォーマンス力が必要とされる。ラミ・マレックは「まねるのではなく、動きの意味を理解する」ことを目指し、フレディの癖、話し方、目の動き、振り向き方、マイクのひねり方……を徹底的に体に叩き込んで撮影に臨んだそうです。


クイーンが紡ぐ言葉の力

映画に登場する28曲すべてが名曲で、ラストの21分、ライヴ・エイドのステージの臨場感、躍動感、一体感、4人のパフォーマンス、すべてに震えます。

そのステージにたどり着くまでには、事務所との対立、フレディとメンバーとの亀裂、フレディが抱えていた悩みと秘密、いろいろな出来事が描かれます。そして、彼らが経験したことが曲となり、感動となり、聴き手に伝わってくる。魂が震えるのは、音楽に乗せた言葉の力、メッセージの強さもあります。


なぜ、いまクイーンなのだろう──。映画を観る前はそう思いましたが、映画を観て、改めてクイーンの曲を聴いて感じたのは、挑戦する気持ち、仲間や家族を想う気持ち、挫折したときの立ち上がり方、正直に生きること……生きる希望でした。

クイーンを知っている世代だけでなく、この映画で初めてクイーンと出会う人にとっても、その希望は同じように受け取れると思います。

彼らの名曲は何十年経とうとも色褪せない、それどころか今もなお新鮮に感じます。ぜひ、大きなスクリーンでメッセージを受け取ってほしいです。

『ボヘミアン・ラプソディ』
11月9日公開
監督 ブライアン・シンガー
出演 ラミ・マレック、グウィリム・リー、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコン ほか
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

ⓒ 2018 Twentieth Century Fox
新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。