大人になるほど恋愛無器用になるのは何故？『おとなの恋は、まわり道』

仕事も趣味も勉強も、経験を積むほど上達していくものですよね。日に日に上手くなると続けていくことにやり甲斐を感じますし、面白さも増していきます。

ですが、それに当てはまらないのが、大人の恋愛。

失恋から立ち直れずにいたり、過去の恋愛を引きずっていると、新しい恋をしようと思ってもどんどん不器用になってしまう……。

悩める大人の恋に必要なのは、共感できる恋愛映画！　というわけで、今回は『おとなの恋は、まわり道』という映画をピックアップしました。

タイトルに“まわり道”とあるように、人生も恋もこじらせ続けている男と女が主人公です。 

男の名前は、フランク。
イケメンなのに人間嫌いで不安定、他人に心を開こうとしない偏屈な男性です。演じるのは、キアヌ・リーブス。 

女の名前は、リンジー。
美人で魅力的なのに男運が悪く、それによって運命の恋を信じなくなった女性です。演じるのは、ウィノナ・ライダー。 

キアヌとウィノナは、『ドラキュラ』『スキャナー・ダークリー』『50歳の恋愛白書』に続く4度目の共演ということもあり、成熟した一流俳優の共演も見どころです。

フランクとリンジーは豪華でロマンチックなリゾート・ウエディングに招待され、結婚式に向かう途中で出会います。 

本来なら楽しいお祝い旅のはずですが、2人にとっては“最悪”の結婚式。 

その理由は…… 

花婿は、フランクにとって絶縁中の異父兄弟で、リンジーにとっては彼女を捨てた元婚約者。たしかに最悪と言いたくなるシチュエーションです。 

なぜ、結婚式に出席するのか？　そこに2人がこじれている理由が隠されています。2人はどんなふうに近づいていくのか──。

フランクとリンジーは、出会った瞬間から「何なのこの男！」「何なんだこの女！」という心の声が聞こえてきそうなほど第一印象は悪く、会話をしても意見は合わない。印象は悪くなる一方です。

そんな男女に恋愛感情は芽生えるの？　と思いますよね。

この映画の面白さはまさにそこにあって、第一印象は悪くても、いえ、だからこそ言いたいことが言えるわけです。

面白いなぁと思ったのは、登場人物はたくさんいるのにセリフがあるのはフランクとリンジーだけという点。珍しい描き方です。

そして、もしかしてこの出会いは運命なの？　と思わせる出来事が次々と起きます。人は偶然が重なると「これは運命かも」と思いたくなるものですよね。

フランクとリンジーの場合は──

・同じ結婚式に出席
・同じ飛行機で席が隣同士
・ホテルが同じで部屋も隣同士
・結婚式の席も隣同士

単なる偶然なのか、それとも運命なのか。そんななかで繰り広げられる2人の会話は、愚痴や悲観的な意見、花婿の悪口……ポジティブとはほど遠い会話ですが、なぜかテンポはぴったり。そこにも運命の相手かどうかのヒントがあると思うのです。

結婚式という最高にハッピーな舞台のなかで、最高にアンハッピーな気持ちで過ごす男と女。この映画の脚本兼監督をつとめたヴィクター・レヴィンは、こんなメッセージを残しています。

「過去に受けた傷がどれほど深かろうと、先に進み続けるのか？　それとも諦めるだけなのか？　ということだ」

もちろん、誰だって先に進み続けたい！

フランクとリンジーがそれぞれに感じたこと、その感じたことを彼らがどう行動に移したのか。そこに、先に進むための大きなヒントがありました。

『おとなの恋は、まわり道』
12月7日（金）公開
監督・脚本　ヴィクター・レヴィン
出演　キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー　ほか
公式サイト　koi-michi.com

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