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花もポストに届けてくれる時代

一輪挿しに花を1本生けるだけで、部屋が明るくなり、気持ちも明るくなるものだ。

彩りを添えるなら、造花でも写真でもポストカードでも何でもいいはずだが、やはり生花とそれらは違うのだ。生きている、ということなんだと思う。

どんなに鮮度のいい花を買ってきたとしても、1〜2週間後には必ず枯れてしまう。少しでも美しくそこに居てほしいから、毎日水を替えて、数日に一回茎を1〜2cm程度カットする。

そうやって手を掛けることで、自然と気持ちがリラックスできている気がする。花の美しさに癒されている気がする。それから、花を飾ることは恋愛運アップにつながるそうだ。
だから毎週、花屋に行く。

1本だけのときもあれば、グラスブーケを買うこともある。仕事で、今週は自宅作業が多くなりそうだな、というときは少し奮発して、部屋の何カ所かに飾る。それだけで気分はぜんぜん違うから不思議だ。


最近は、ミニブーケをポスト受け取りできる花屋のサービスを始めた。ポストにどうやって? 

一日外出していたら受け取るのは当然夜だし、ずっとポストの中に入っていたら花が傷んでしまうんじゃないか、そもそも郵送の段階でつぶれちゃうんじゃないかと疑問だらけだったが、実際は──

横にしてもこぼれないゼリー状の保水剤なのでポストに入っている時間が長くても安心だし、箱もつぶれないような仕組みになっている。

何よりもフラワーデザイナー作だからグラスに生けるだけで絵になる。毎週、届く日が楽しみになっている。
私にとって、花は気持ちよく暮らすための必要不可欠なものとなっているが、生活に余裕がないときは、もったいないなぁと思ったこともある。

資生堂のCMで、満島ひかりが閉店間際の花屋の前を通り「花よりコロッケ? チェッです」と、空き缶を蹴るCMがあるが、あの気持ちはすごくよく分かる。1本数百円のバラを買うなら……と。

というのも、田舎の実家暮らしのときは、母親が花好きだったこともあり、庭には何かしら花が咲いていた。

贈り物は別として、切り花を買う機会は滅多になかった。だから東京でひとり暮らしを始めたとき、花ってこんなに高いんだと、ちょっとしたカルチャーショックだった。
もうひとつ、いい効果としては、花を買うようになってから無駄遣いが確実に減った。

今日は花を買ったから外食やテイクアウトは控えて自炊にしようと節約できるようになり、その習慣がそのまま続いている。

自分で花屋に行って買う花、ポストに届けてもらう花、しばらくはこのスタイルが続きそうだ。(text:Rie Shintani)
新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。