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100万円で恋人になって!?あの冬の名曲から生まれたラブストーリー

映画のようなロマンチックな恋がしたい──でも現実には、そう簡単にロマンチックな出会いも恋も訪れない……。分かっていても乙女たるもの、やっぱり素敵な出会いに憧れるものです。

今回ピックアップした映画『雪の華』は、中島美嘉の名曲「雪の華」から生まれた物語で、登坂広臣&中条あやみ共演、しかも北欧フィンランドが舞台。

出会いも恋も物語の舞台もいろいろなロマンチックが詰まったラブストーリーです。


突飛すぎる提案から始まる恋愛って?

この『雪の華』、とてもロマンチックなラブストーリーであることは間違いないのですが、恋が始まるきっかけは、実はわりと現実的。

ヒロインの美雪(中条あやみ)はある日ひったくりに遭い、たまたま通りかかった悠輔(登坂広臣)に助けられます。それから半年後、偶然に悠輔の姿を見かけた美雪は彼の後をつけて、悠輔が働くカフェを訪れます。

そのカフェが経営危機に陥っているのを知った美雪は、とんでもない提案をします。それは100万円を出す代わりに 「1ヵ月、私の恋人になってください」というものでした。なぜ……?


期間限定×疑似恋愛=新しい恋愛映画

美雪は幼い頃から病気がちで、主治医から余命1年を宣告されるんですね。それで残りの人生を後悔のないように生きたいと、最初で最後の恋をしようと決める。100万円と引き換えに、ロマンチックな恋愛の思い出を作ろうとするわけです。

疑似恋愛から始まる恋物語は、恋愛映画では決して珍しいものではないですが、疑似恋愛、限られた時間、この2つが組み合わさることで新しいラブストーリーになる。

名曲「雪の華」で歌われている雪の儚さや永遠の愛が、映画になるとこういうふうになるのか、という深みも味わえます。


恋をすると女性は身心ともに輝く

恋愛という思い出が欲しかった美雪、突飛な申し出に戸惑いながらも期間限定の恋人を演じる悠輔。2人の関係がどう変化していくのか、それがこの映画の面白さであり、のめり込んでしまう要素です。

そして可愛いのにどこかあか抜けなかった美雪が、悠輔とデートを重ねるごとに輝いていく。

それは恋をしたことのある誰もが共感することですが、彼女の場合は、肉体的な命の輝きが弱まっていくのに対して、恋愛という魔法によって命が輝いていく、それが切ない。もしも自分だったら……と切なくなってしまうんです。


憧れる!夏も冬もフィンランドデート

2人の恋を彩るフィンランドの街並や雪景色もロマンチックです。美雪には夢があって──それは両親が出会った“約束の地”フィンランドでオーロラを見ること。というわけで、真っ白な世界、フィンランドの大自然も登場します。

また、美雪が悠輔との最後のデートの場所として選ぶのは夏のフィンランド、ヘルシンキの街。

ヘルシンキ大聖堂、マーケット広場、カイヴォプイスト公園、テル・ヴァサーリ島など、2人がデートする観光スポットをそのまま真似して旅したくなる、そんな魅力的なフィンランドの風景も見どころです。


「100万円で恋人になってください。1ヵ月だけ──」

とても映画的なストーリーですが、いい出会いがないかなぁ、いい人が現れないかなぁと、ロマンチックな恋に焦がれている人にとって、美雪の勇気ある行動はお手本にしたいものです。100万円でというのは、ほんと突飛ですけど。

待っているだけじゃ始まらない、ほんの少しの勇気を出すことがどれだけ人生を輝かせることになるのか、そして人を好きになることでどれだけ強くなれるのかを教えてくれるラブストーリーです。

『雪の華』
2月1日(金)公開
監督 橋本光二郎
出演 登坂広臣、中条あやみ、高岡早紀、浜野謙太、箭内夢菜、田辺誠一 ほか
公式サイト yukinohana-movie.jp

ⓒ 2019 映画「雪の華」製作委員会
新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。