失恋中といっても気持ちの沈み方にはレベルがあって、どん底から、まさに今、水面に向かって上昇しようとしている時に、どっぷり感情移入してしまう重たい恋愛映画を見てしまうと、暗い水底に後戻りしてしまう……なんてことも。
少し落ち着いたかな……そんなふうに気持ちが明るくなりかけた時は、気軽に見られるコメディがおすすめです。
たとえば、リース・ウィザースプーン主演の『ホーム・アゲイン』。
『恋愛適齢期』『ホリデイ 』『マイ・インターン 』の脚本家ナンシー・マイヤーズの娘、ハリー・マイヤーズ・シャイヤーの監督&脚本作品です。
2017年の映画で、日本では劇場未公開でしたが、NetflixやDVDで見ることができます。
主人公は、リース・ウィザースプーン演じるアリス。夫とは5ヵ月間別居中で、2人の娘と一緒にニューヨークからロサンゼルスへ引っ越してきます。
ロサンゼルスには彼女の父親が残してくれた家があり、そこで新たなスタートを切ることになるのですが、とある偶然の出会いによって、その家に映画製作を目指す3人の青年を居候させることに!
彼らは、監督、脚本家、俳優の卵たちで、これまた偶然なことに、アリスの父親は有名映画監督という設定です。
よく知りもしない人をいきなり家に滞在させるなんて! しかも3人のうちの1人ハリーとアリスがイイ関係に!? そんなことって有り得ない! と思う人もいるかもしれませんが、まあそこは映画ということでご愛嬌(笑)。
でも考え方によっては、人生って何が起きるか分からないから面白くって。こういう映画を見ると、いま悩んでいることも「どうせなら楽しんじゃう?」くらいの余裕を持ちたい! と思えてくるものです。
そしてアリスは、3人の青年との出会いによって変わっていきます。
「男と女の違いって知ってる?
男の人はただ行動するだけだけど、女はその行動によって、
どんな良い点と悪い点が生じるかリストを作るの──」
このセリフが意味するのは、アリスの揺れ動く心情です。別居中に出会った青年に惹かれていて、でも一回り以上も年下だし、新しく始めた仕事も何とかしたいし、子供たちのことだってある……その恋がもたらす良い点、悪い点を想像して、葛藤しながら前へ進もうとします。
アリスを通して見えてくるのは、苦しくても、もがいて自分で考えて決めた道は、どんな道でもきっと後悔しないということ。失恋を乗り越え、新しい一歩を踏み出したい人の背中をそっと押してくれるはずです。
映画青年たちの友情、そして夢に向かっていく姿からは「私も頑張ってみよう!」という勇気をもらえます。
さらに、ハリー役のピコ・アレクサンダーは、日本ではまだ知られていない若手俳優ですが、かなりのイケメン! アリスに起きたように、こんな青年とある日突然同居できたら……なんて妄想も膨らみます(笑)。