時は大正時代。
心優しい少年・炭治郎(たんじろう)は、6人兄弟姉妹の長男。
亡き父の代わりに母や弟妹たちを支えながら、慎ましくも幸せに暮らしていた。
そんな日々は、鬼の出現により一変する。
ある日家族を鬼に皆殺しにされ、唯一生き残った妹・禰豆子(ねずこ)も鬼に変貌してしまったのだ。
禰豆子を人間に戻すため、また殺された家族の仇(かたき)を討つため、炭治郎は「鬼狩り」として生きることを決意する……。
傷口に鬼の血を浴びて、人の血肉を喰らう鬼と化してしまった禰豆子。
鬼狩りの組織「鬼殺隊」に殺されかけるも、炭治郎を守ろうとする禰豆子の仕草に、本来の鬼の気質からは考えられない「何か他とは違うもの」を感じた鬼殺隊に見逃される。
禰豆子を人間に戻す。
方法があるのかも分からない。
それでも炭治郎は迷わず、禰豆子を救うため鬼狩りの道へと突き進みます。
困難な現実に打ちのめされても、わずかな希望を探して、決して諦めず前を向く炭治郎。
「頑張れ 炭治郎 頑張れ!!
俺は今までよくやってきた!!
俺はできる奴だ!!
そして今日も!! これからも!! 折れていても!!
俺が挫けることは絶対に無い!!」
(3巻 第24話 元十二鬼月)
自分を奮い立たせて立ち上がる、その姿に勇気を貰える漫画なのです。
それにしても、自分で自分を大声で励ます主人公は初めて(笑)。
ちょっとズレているところも、炭治郎の魅力の一つです。
「鬼は人間だったんだから
俺と同じ人間だったんだから」
「醜い化け物なんかじゃない
鬼は虚しい生き物だ
悲しい生き物だ」
(5巻 第43話 地獄へ)
記憶も理性も失い、欲望の赴くままに人を喰らう鬼も、かつては人間だった――。
体が弱くて歩くことさえもままならず、生きながらえる為に鬼となったものの、最愛の両親を自ら殺(あや)めてしまった男の子。
唯一の肉親である妹を丸焼きにされ、生きるために誰にも奪われないために鬼になった兄妹 。
救いようの無い鬼もいますが、中には切なく悲しい鬼もいて。
殺された家族のため、これ以上被害者を出さないため、炭治郎は決して人を傷つける鬼を許しはしないけれど、踏みつけにもしない。
愚直なまでにまっすぐな炭治郎の優しさに、涙なくしては読めません。
今春にはアニメもスタート予定で大注目の『鬼滅の刃』。
鬼と人が織りなす切ない物語に、迫力ある剣戟(けんげき)、スピーディーな展開……魅力はたくさんありますが、注目いただきたいのはその独創的な台詞回し。
「俺はもうほんとにずっと我慢してた!!
善逸を女の子から引き剥がした時も
声を張った時も
すごい痛いのを我慢してた!!
俺は長男だから我慢できたけど
次男だったら我慢できなかった」
(3巻 第24話 元十二鬼月)
炭治郎の迷台詞(笑)。
でも、彼は至って真面目なのです。
真面目すぎて色々ズレてる炭治郎が可愛い……。
「ア゛ーッ(汚い高音)」
(3巻 第23話 猪は牙を剥き善逸は眠る)
汚い高音⁉︎
超絶ネガティヴな炭治郎の同期・善逸の雄叫びなのですが、「汚い高音」ってパワーワードすぎません?
アニメでどのように表現されるか、今から楽しみ!
そんな台詞を発する登場人物たちも、もれなく個性的なんですよね。
彼らの死闘に、切なくて悲しくて涙を流したかと思えば、斜め上を行く言動にお腹がよじれそうになることも。
感情をあらゆる方向に揺さぶってくる漫画なのです!
連載している『週刊少年ジャンプ』では、最終決戦の真っ只中……。
炭治郎は悲しみの連鎖を断ち切ることができるのか?
目が離せません!
いかがでしたか。
ダークファンタジーですので、「共感できるか」と言われたら少し違うかもしれませんが、何度でも立ち上がり、前に進み続ける炭治郎たちに勇気づけられるはず。
4月スタートのアニメにも注目です!