RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグがどんな人物なのか知るきっかけとなったのは、少し前に公開された映画『ビリーブ 未来への大逆転』。フェリシティ・ジョーンズ演じるルースが、男女平等の一歩となる裁判に挑む姿を目にしたことでした。
ほんの50年前、女性は仕事を選ぶことができず、自分の名前でクレジットカードを作ることも許されない、女だから……という性差別がまかり通っていた。そこに意義を唱え、法の下の平等の実現に向かっていったのがルースです。
本作『RBG 最強の85才』では現在のルースの活躍と、約50年間にわたって彼女が戦ってきた裁判の記録が映し出されます。
ドキュメンタリーの多くは、どんなに素晴らしい題材でも途中でうとうとしてしまうものですが、この作品は98分間、集中力が途切れることはありませんでした。なぜか──
「現在の女性が法律で守られているのは、70年代のルースの功績の恩恵」と語られる、そのスーパーウーマンの人生には、壁にぶつかったとき、迷ったときのヒントになる教えがたくさん詰まっているからです。
戦う女性というと、男勝りで恐いイメージがあるかもしれないですが、このドキュメンタリーを観て驚いたのは、ルースの淑やかさ、冷静さ、チャーミングさ、そして誰よりも努力を積み重ねてきた人であることでした。そんな彼女が発する言葉はどれも心に響くものばかり。
共働きが当たり前になった現代において、保育園や幼稚園の待機児童問題、男女それぞれの育休問題、働き方改革、さまざまな問題が山積み……。その解決方法もルースの考え方にヒントがあると思うのです。
表面上の政策ではなく、男女平等とはどういうことなのかを真剣に考えないと、何をやってもダメ。変えていくためには、先に挙げたルースの言葉にもあるように「説き続けていく必要がある」。女性が声を上げていかなければならないのです。
声を上げることは簡単なことではないですが、一番小さなチームである家族から始めてみようと思える──。そういう意味でもルースの家族はお手本です。
というのも、夫であるマーティンも弁護士なのですが「マーティンとの出会いは人生で一番の幸運です」と語っているように、彼の考え方も素晴らしくて。ルースの娘がこう語っていました。「私が育った家庭では義務を平等に負担しています。父は料理担当で、母は考えるのが仕事です」と。
学ぶことだらけのドキュメンタリー、バイブルになりました!
『RBG 最強の85才』
5月10日(金)公開
監督・製作 ジュリー・コーエン、ベッツィ・ウエスト
出演 ルース・ベイダー・ギンズバーグ、ビル・クリントン、バラク・オバマ ほか
公式サイト http://www.finefilms.co.jp/rbg
ⓒ Cable News Network. All rights reserved.