今回のテーマは「失恋の苦しみを癒してくれる言葉」。
悲しい時って、誰かに分かってもらいたくなりませんか? 分かち合って思いっきり泣いたら、少しだけ前を向けたりしませんか?(私だけ?)
今回は女性の気持ちがリアルに描かれた共感必至の漫画の名ゼリフをご紹介! きっと傷ついた心を癒してくれるはず。
どんな経験も無駄じゃないと思える言葉
ぽっちゃり体型で、彼氏いない歴=年齢のつぼみ(通称・ぼん)。華やかな芸能界デビューを果たした従姉妹のノニとは対照的に、フリーターとしてレンタルビデオ店で働く自分を「現実なんてこんなもん」と諦めていた。そんなある日、バイトの同僚シロや常連客・茄子川さんと出逢い、自分を変えたいと思うように。恋と友情に悩みながら成長する少女たちを描いた、グロウアップストーリー。
ワタシは 経験をした分落ちても
元のところまでは
落ないのヨ
いくえみ綾「カズン」 3巻 #29
失恋をして、折角成功したダイエットも元通り。落ち込むだけ落ち込んだ「ぼん」が、また前を向きはじめたときの一言。
失恋して、リバウンドして。
頑張っても叶わなかった時って、全て意味がなかったように思えるけれど。
悲しくて、辛くってそんな気持ち、経験しないでいいならしたくないけれど。
でも、叶わなくたって、頑張ったこともだめだったことも、全部自分のものだから。
失恋した時って、この世の終りのように思えてしまうけれど、時が経って振り返ったとき「これでよかった」って思えることも結構あって(笑)。
それを振り返れるようになるまでが辛いんだけど、いつか来るその時を思って、頑張ろうと前を向ける言葉です。
寄り添ってくれる優しさに気がつける言葉
アパレル会社で働く・麻里子。バーの雇れ店長・典子。ヨガインストラクター・里沙。専業主婦の栞。仕事も環境もバラバラでそれぞれ悩みを抱える4人が、美味しい朝ごはんを通して再生する物語。
彼氏と別れ無気力になっている麻里子を、友人たちは金沢旅行に連れ出す。その優しさに触れ、麻里子は…
恋が終わるともう誰かを 愛したり
愛されたりなんて
出来ないんじゃないかって
落ち込んでしまうけど
私の人生に寄り添って
くれるのは誰か一人だけじゃない
マキヒロチ「いつかティファニーで朝食を」 7巻 SCENE35
…わかる!
悲しくて苦しくて、ずっと同じことをぐるぐる考えて抜け出せなくなってしまう。そんな時、支えてくる友達にどれだけ救われることか。
大学生の時、先輩にフラれて泣いてばかりで何も手につかない私のために、友達がずっと私の家にいてくれたことがあったなぁ。
その時友達は、卒業を控えた部活の先輩を送り出すための記念品を手作りしていて。泣きじゃくりながら寝込む私の横で、ひたすら作業していた(笑)。
しまいには人手が足りなくなったのか、その子の部活仲間まで私の家に呼び出し、私も手伝わされて(笑)。
そばにいてくれるだけですっごく救われて、元気が出たことを今でも覚えている。
沈んだ時だからこそ、寄り添ってくれる優しさに気づけた。
今となってはいい思い出と笑えるのは全部、その子のおかげ。このコラムが公開されたら見せようかな(笑)。
「いつかティファニーで朝食を」は、仕事に恋愛に悩む女性のリアルが描かれているので、共感必至のセリフのオンパレード!
友達の近況を覗くような気持ちで読みすすめられる漫画です。
別れる勇気がない時に背中を押してくれる言葉
一人でいる時間が大好きだけれど、たまに不安を感じる書店員。依存しすぎて彼氏に振られた女子大生。新婚だけれど、旦那の元カノにやきもきする女性…色々な形の“おひとり様”を描いたオムニバス・シリーズ。
ほうとうはずっと そうしたかったんだ淋しいから なんて いやなんだ
愛しくてならないから 求めたいんだ
淋しくても 淋しくても
ひとりで立てる 自分になりたい
谷川史子「おひとり様物語」 5巻 第32話
長く付き合っている彼氏とうまくいかず、でも別れる勇気もなく、ままならない毎日を過ごす32歳の真咲は、電車の広告が目に止まり思いつきで城を目指すことに。そこから見えた朝陽に心が洗われて、自分の本当の気持ちに気づく。
なんか違うかな…。
そう思っても、別れる勇気がでないことってありますよね…。
年齢的に結婚を焦ったり。
次の恋愛をする自信がなかったり。
相手の条件に後ろ髪が引かれたり。
そりゃあ、100%文句なしに付き合える人なんていないけれど。
打算がこれぽっちもない付き合いも、アラサーを過ぎれば難しいけれど。
文句があっても、打算があっても、愛情があればいい。その愛情さえも、月日の長さからくる単なる「情」なのか…わからなくなる…。
そうやって、「なんか違う」に蓋をしつづけていても、きっとその先は苦しいだけ。
私自身、情が湧いちゃって「なんか違う」と想い続けながらも結局ずるずる付き合っちゃうタイプ。でも結局その「なんか」を埋められなくて、お別れしてきました。
ちょっとでも迷いがあるのなら、自分の気持ちに素直になってみていいと思うのです。
一人でも楽しいけれど、二人でいたらもっと楽しいね。
そういう恋愛が私の理想なのですが、そのためには一人で立てなければ。
はじめて読んだ当時、自分の境遇や想いとリンクして思わず泣いてしまった、思い入れのある言葉なのです。
「おひとり様物語」を読むとほっとするんですね。みんな、もがきながらも頑張っているんだって! 私だけじゃないんだって! 悩みながらも、それでも前を向く彼女たちに背中を押されます。
叶わなかった恋を誇らしく思える言葉
恋人と一緒に大学進学を控え、幸せいっぱいのはずなのにどこか心が晴れない志伸(しのぶ)。そんな彼女の前に、一年前に亡くなった幼馴染・久にそっくりの少年が現れて。大切な人を失い苦しみもがく志伸と、志伸を取り巻く人たちとの心模様を描いた、切なくも温かい感動作。
きみと出会いたいたとえ永遠に結ばれなくても
きみという人を知って
触れて 愛していると
愛する人に出会っていたんだと
何度でも思い知りたい
そんな誇らしい日々があれば
何度だって駆け出してゆけるんだ
それは 星のような速さで
谷川史子「星の速さで駆けていく」
現実を受け止められなくて気持ちに蓋をしてきた志伸が、久の死を受け入れて自分の道を進もうと決意した時の言葉。
死別という悲しい結末ではなくとも、叶わない想いはたくさんあって。
愛おしい日々であればあるほど、その思い出に囚われてしまいそうになるけれど、前に進む原動力にだってなるはず。
そんな愛おしい日々を「誇らしい」と表す谷川先生の言葉が、気高くて好きなのです。
谷川史子先生の作品はどれも優しくて、感情を一つ一つ丁寧にすくい上げてくれるものばかり。切ない物語もどこか温かくて、前を向く力をくれます。漫画を読む時間があまりとれないという方も、短編集が多いので気軽に読むことができますよ。
他にも、「吐息と稲妻」「忘れられない」も叶わなくとも愛おしい、恋愛模様が描かれている短編集もおすすめです!
いかがでしたか?
辛い時、そっと寄り添ってくれるセリフが詰まった物語ばかりです。ぜひ読んでみてくださいね。