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職場いじめ──カウンセラーが解説!パターン別いじめの心理と対処法

同僚からの無視、上司からの暴言や侮辱──職場というプロフェッショナルな場で、このようないじめが起こるのは珍しい事ではありません。いじめを受けている人の中には、身動きが取れないままつらさに耐えている人も数多くいます。どう対処すれば良いのでしょうか?
いじめる側の心理とともに、心理カウンセラーの山岸ひとみ先生が解説します。

【目次】
1.職場いじめの現状
2.いじめる側の心理
      [1] 同僚からのいじめの場合
      [2] 上司からのいじめの場合
      [3] 部下・後輩からのいじめの場合
3.職場いじめの弊害
4.職場いじめの対処法
5.いじめを助長するNG行動
6.職場いじめを受けているあなたへ

1.職場いじめの現状

職場いじめは「地位や人間関係の優位な立場を利用して、精神的・身体的な苦痛を与える行為」と定義されます。パワハラやセクハラなども含まれ、今や深刻な社会問題の一つ。日本法規情報株式会社が行った「法律トラブル意識調査」(2014年)では、職場で「いじめを受けたことがある」と回答した人の数が全体の6割近くにのぼる結果に。

また、「いじめを受けたことがある」と回答した人を対象に、「そのいじめ行為をした原因は誰か」についてアンケートを行った結果、職場いじめの相談で最も多いのは「職場の同僚+他部署の同僚」(46%)、続いて「職場の上司」(41%)、「部下・後輩」(8%)と判明しました。

Q. そのいじめ行為をした原因は誰か
毎日顔を合わせる人同士の間に起こる、職場いじめ。些細なことがきっかけになることも少なくありません。職場という環境では、つらい思いをしていても立場上、声を出しにくいことも。問題に向き合う方法を探すために、いじめる側の心理から見ていきましょう。

2.いじめる側の心理

いじめは何で起こるのでしょうか? いじめる側の心理が分かれば、解決法も見えてくるかもしれません。ここでは、トラブルの多い「同僚からのいじめ」「上司からのいじめ」「部下・後輩からのいじめ」について解説。人間関係の悩みに精通する心理カウンセラー、山岸ひとみ先生が、その心理を紐解きます。

[1] 同僚からのいじめの場合
【よくあるいじめの例】
・無視する
・いじめている相手にだけお菓子を配らない
・ランチや飲み会に誘わず仲間外れにする
・陰で悪口を言ったり噂を流す
・面倒な仕事を押しつける

【いじめの心理・山岸先生解説】
・嫉妬や妬み
「あの人と比べて自分は仕事ができない」「上司はあの人のことばかり褒める。面白くない」といった思いが、いじめという形で表れます。劣等感が強いタイプに多いようです。

・自分の力を見せつけたい
自分の意見を曲げることを嫌い、自分の意見が通らないと「否定された」「バカにされた」と感じます。自分の力を見せつけたい、自分の方が正しいと認めさせたいという思いから、自分とは意見の異なる人や、自分に意見を言う人をターゲットにしていじめます。

・ストレス発散
ストレスを上手に発散できない人は、八つ当たり的にいじめを行います。最初は小さなイタズラから始まり、それでスッキリすることを覚えると、行動がエスカレートしていくのです。

・集団の曲がった団結力
特に中途採用された社員へのいじめは、ここから始まることが多い傾向にあります。これまでと違う風(人)に対して、「今までの習慣が変えられてしまうのではないか」「人間関係が変わるのではないか」「自分たちのやり方を否定されるのではないか」という、変化を嫌う心理が集団的に働くからでしょう。

 [2] 上司からのいじめの場合
【よくあるいじめの例】
・ミスを責め立てて怒鳴る、罵る
・残業を強いる
・仕事を教えない、与えない
・私生活に干渉する
・たたく、物を投げる

【いじめの心理・山岸先生解説】
・自分に自信がない
自分に自信がないため、上から押さえつけるような言動をして、相手を抑圧しようとします。有無を言わせない形に追い込み、統制が取れているという印象を与えようとするのです。

・上下関係にこだわる
部下は自分の駒で、思い通りに動くのが当たり前と思っています。上下関係で上の自分は、下の人に何をしてもいいという感覚を持っているケースが多くあります。

・八つ当たり
売上、部署の成績や評価、会社からの要望など、プレッシャーに押しつぶされそうな状態に陥った上司は、「思うような結果が出ないのは、自分のせいではなく部下が働かないから、無能だから」という意識があります。責任転嫁や八つ当たりが、いじめに発展するケースも。

・会社に認めてほしい
自分の能力を誇示したいタイプで、自分の評価を下げるような行動をする部下をターゲットにします。会社(経営者)に対して、自分の管理能力を認めてもらいたいという思いが根底にあります。

[3] 部下・後輩からのいじめの場合
【よくあるいじめの例】
・陰で馬鹿にする
・指示を無視する
・悪い噂を立てて評判を落とす
・「能力がない」と責め立てる
・部下である立場を利用して、過剰に権利を主張して困らせる

【いじめの心理・山岸先生解説】
・上下関係の立場に納得がいかない
自分のほうが知識や経験で上回っているのに、指示されるのが面白くないという心理があります。部署全体が1人の上司をいじめるという例も少なくないようです。

・プライドが高い
注意されると、「否定された」「バカにされた」と感じ、「自分の力を見せつけてやりたい」との思いからいじめに発展します。

3.職場いじめの弊害

職場いじめは、受けている人に精神的な苦痛を与えるだけでなく、身体的な不調をもたらす可能性があります。長期化すると、休職や退職を含め深刻な問題にもつながることも。職場いじめの弊害とは、どういったものが挙げられるのでしょうか。ここでは、実際にいじめを受けた人にもたらした弊害例と、職場で起こる弊害例をまとめました

【いじめを受けている人への弊害例】
・不眠
・体調不良
・食欲減退
・モチベーションや業務効率の低下
・出社拒否
・人間不信
・うつ
・自己肯定感の低下
・休職や退職

【職場への弊害例】
・生産性の低下
・当事者どうしのコミュニケーションへの支障
・職場全体の士気の低下
・企業の社会的評価の悪化
・時間と労力の捻出

いじめを受けている人の、この先の人生さえも壊してしまいかねない職場いじめ。本来あってはならないものですが、起きてしまったら、事態が悪化する前に対処することが何よりも大切になってきます。

4.職場いじめの対処法

いじめの例と心理、それによる弊害について理解したところで、現状を抜け出すための対処法をご紹介。職場いじめにあっているあなたに、山岸先生がアドバイスします。

・期間を決めて様子を見る
いじめの程度がそこまで深刻でない場合は、期限を決めて様子を見るのもいいかもしれません。期間は3ヶ月くらいを目途にするのがおすすめ。年度末や長期休みなど、区切りの時期が3ヶ月おきくらいにあるからです。この区切りを境に、状況が変わる可能性があります。それでも変わらなければ、アクションを起こしましょう。

・証拠を集めておく
いじめと思えることがあったら、できる範囲で写真や動画、音声を残しておきましょう。最終手段として、客観的な証拠を突きつけるという反撃が功を奏することもあります。具体的な内容を、日記などに記録しておくのも参考になるでしょう。いざという時のためにも、証拠集めは大切です。

・相談する
信頼のおける先輩や、さらに上の上司に相談すると、突破口のヒントを見出せるかもしれません。会社の相談窓口、またはプライバシーの保護が確保されている労基署などの外部機関に相談するのも良いでしょう。相談する際は感情的にならずに、冷静かつ客観的に事実を伝えることが大切です。女性は特に感情を伝えがちですが、気持ちを込めて話してしまうと、話が伝わりにくくなるので注意が必要。「悲しい」「腹が立つ」というような言葉は使わずに相談しましょう。

・物理的に離れる
職場の人間関係は、すぐには改善しにくいもの。逃げ場がなくなってしまうことも多いため、部署異動を願い出るのも一つの選択肢です。その場合、人事異動には時間がかかるため早めに願い出るのがポイント。その他にも、転職を視野に入れたり、休職や退職をしてしばらく仕事から離れるのも良いでしょう。これらは「逃げ」ではなく、自分を守るための行動です。


いじめは身勝手なものばかり。自分を責めたり、「自分が我慢すれば」などとは決して思わず、山岸先生のアドバイスを参考にして、行動を起こすきっかけにしてみてください。

5.いじめを助長するNG行動

職場でいじめにあっている場合、行動の仕方によっては、いじめをさらに助長してしまうリスクがあります。山岸先生によると、気を付けたいポイントは3つ。アドバイスとともに解説いただきました。

【いじめ現場のNG行動】

●ポイント1
「つらそうな姿を見せない」
いじめをする人は、相手が泣く姿や、もがく姿を見て喜ぶ傾向にあります。そのため、過剰に反応したり、つらそうにしている姿を見せたりすると相手の思うつぼ。できるだけ平静を保つようにするのが大事です。

●ポイント2
「反抗的な言葉を返さない」
特に上司や先輩に対して、「私が何をしたのでしょう?」といった態度は命取り。反抗的ととられるような言葉は、火に油を注ぐようなものです。いじめている人には、このような言葉は自分への責めや反撃として捉えられ、余計に抑え込もうとしてきます。

●ポイント3
「プライベートの話をしない」
女性の多い職場では特に、「パートナーのスペックが高い」「リア充が伝わる」といった内容は妬みのきっかけになります。仕事中はある意味、女性であることを忘れるのも一つの手。仕事の人間関係は仕事だけのものと割り切って、余計なことは話さないようにしましょう。

いじめる相手には、割り切った冷静な対応を見せるのがポイント。いくら理不尽なことでも、相手の心をヒートアップさせてしまっては、いい流れは生まれません。素直に話を聞き、真摯に対応する姿勢を見せれば、いじめが悪化することはなさそうです。

6.職場いじめを受けているあなたへ

職場いじめは、そのままにしておくべきではありません。一日の大半を過ごす職場。1人で苦しまずに、一刻も早くマイナスの状況から抜け出しましょう。行動にはエネルギーがいるものですが、現状維持は無理だということを、あなたは分かっているはず。自分を守るのは自分だけです。一歩踏み出す勇気が、必ずいい結果につながるはずですよ。

【協力してくれたカウンセラー】
山岸ひとみ先生(トークCARE)
心理カウンセラー。専門分野は「仕事・キャリア」と「人間関係」。15年におよぶ看護師経験から「心の健康がなくては体の健康を保ちにくい」と感じカウンセラーの道に。LINEトークCAREでも相談受付中。

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[引用データ]
charmmy編集部
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