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ハロウィンに見たいラブストーリー『ゴースト/ニューヨークの幻』

ハロウィンの季節ですね。

日本では年中行事のひとつとして定着しているハロウィン。洋画では、仮装した子供たちが「おかしをくれなきゃイタズラするぞ!(Trick or Treat!)」と言って近所の家を回るシーンを見かけますが、そもそもハロウィンって何の日なの? 調べてみると──

もともとは古代ケルト人が始めた習慣で、秋の収穫を祝い、冬の前に悪霊を追い払うお祭りだったそうです。死者の霊が戻って来る期間でもあると言われています。

1990年代を代表するあの恋愛映画

死者の霊が戻ってくると言われる季節だからなのか、ハロウィンの前後は、死者の世界やゴーストが出てくる映画が見たくなります。

たとえば、去年公開した『リメンバー・ミー』はメキシコの死者の日をベースに家族の愛を描いていましたし、ロシアの民話を題材にしたラブストーリー『ティム・バートンのコープスブライド』、心やさしい幽霊と少女の交流を描いた『キャスパー』、もちろん『ハロウィン』のようなホラー映画でハラハラドキドキもいいですが、恋愛映画好きとしてのイチオシは『ゴースト/ニューヨークの幻』です。

ゴーストになった男性が恋人を救う

ハロウィンの季節に見たい映画ということで、久々に『ゴースト/ニューヨークの幻』を見ました。名作と言われる映画は、何年経っても色褪せない。あらすじも結末も知っているのに見入ってしまいます。

主人公は銀行員のサム(パトリック・スウェイジ)と陶芸家のモリー(デミ・ムーア)。この2人のラブストーリーが軸ですが、描かれる物語はサムが亡くなってから。ゴーストになったサムは愛するモリーをある危険から救うため、霊媒師のオダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)の力を借りることにします。

使ってみたい「同じく」という愛の言葉

この映画の何がすごいかって、泣けるラブストーリーであるのに、サムとオダ・メイのやりとりはコントのように面白くて、またサムがどうして命を落とすことになったのか、その背景にはサスペンスもあって、生と死の世界も描かれていて、何度見てもよく出来ているなあと思います。

特に好きなのはサムとモリーの愛の伝え方。「愛している」とサムに気持ちを伝えるモリー、そしてサムは「同じく」と答える。「同じく」にはちゃんと意味がありますが、その意味も含めて「愛してる」「同じく」を真似て使いたくなります。

ため息級!これぞ大人のバックハグ

もうひとつ、愛する人に触れること、触れ合えることの描写も美しくて。主題歌「アンチェインド・メロディ」が流れるなか、ろくろを回すモリーを後ろからハグをして指と指を絡ませるシーンはこの映画の象徴。ものすごくロマンチックで、ものすごくエロチック。

そのシーンはある意味、対比だと思うんです。愛する人の温もりを二度と感じられないモリーの哀しみ、ゴーストになってこの世界の人にもモノにも触れることができなくなってしまったサムの切なさ、苦しいほどそれが伝わってくるのは、ろくろのシーンがあってこそです。


ハロウィンというキーワードから28年前の映画『ゴースト/ニューヨークの幻』を見直してみたわけですが、いいラブストーリーは、疲れた心を修復してくれる力があると感じました。

愛する人に「愛してる」ってちゃんと伝えようとか、ハグとか手をつなぐとかスキンシップをもっととろうとか、それは恋人に限らず、親も友人も、大切な人すべてに対して思うこと。

というわけで、自分にとっての想い出のラブストーリーを見て過ごすというハロウィンの過ごし方もおすすめです。
新谷里映
映画ライター、コラムニスト
雑誌編集者を経て現在はフリーの映画ライター、コラムニスト。雑誌・ウェブ・TV・ラジオ、各メディアで映画の紹介をするほか、コラムの執筆、映画のオフィシャルライター、トークイベントのMCなど幅広く活躍。