物静かで、地味でメガネな「町田くん」。見かけの割に勉強はできなくて、見かけ通り運動もできない。一見とりえのない「町田くん」だけれど、彼には人に愛される理由があった。それは彼が、「人を愛している」ことー―。
町田くんは優しい。
とにかく優しい。
心に余裕がないときは、何事も悪く受け止めたり、言葉の裏を勝手に想像したりしてしまうもの。
でも町田くんは、いつでも、どんなことでも、誰に対しても、肯定的に受け止めて寄り添おうとする。
そんな彼に、周りの人は心が動かされていくのだけれど、鈍い町田くんは気がつかない。
そもそも町田くんは、自分が特別に優しいとはまったく思っていない。
彼にとって、すべては「当たり前」なのだ。
西野カナのような台詞も、メロディにのせることなくさらりと言ってしまう町田くん。
彼を一言で表すと――
そう、「人たらし」。
たとえば、同級生の猪原さん。
色々なトラウマから、「人が嫌い」という彼女。
つんけんとした態度で、少しとっつきにくい子なのだけれど、町田くんはそういった表面的なものにとらわれず、彼女の優しさをしっかりと見ている。
彼女の不安に寄り添って、少しでも自分にできることをしたいと思う。
そりゃあ猪原さん、町田くんにホレるわ!
そんなこんなで町田くんは、困っている人がいればそっと手を差し伸べ、誰に対しても常に真っ直ぐに向き合い、知らず知らずにまわりの人の心を動かしていく。
猪原さんが思わずボヤキたくなるのも納得の、人たらしっぷり!
見た目も中身も爽やか完璧男子、超絶イケメンのドS男子……少女漫画のヒーロー像は数あれど、町田くんのような人はいなかった!
町田くんの目に映る世界には優しさが溢れていて。それは、町田くんが人を肯定する心、愛する心をもっているから。
うまくいかない毎日に、不満やイラ立ちを感じてしまうことも多いけれど、ほんのちょっと優しい気持ちを持てば、世界はもっと優しくなるのかも。
ああ、町田くんのように生きたいな。
少女漫画のヒーローを通り越して、人として尊敬せずにはいられない。
それが、町田くん!
6月7日に実写映画の公開も控え、話題沸騰中の『町田くんの世界』。
疲れたとき、気持ちに余裕がないときにぜひ読んでみてください。
町田くんの視点から世界を見てみれば、気づかずにいた優しさを見つけることができるかもしれません。