メンヘラはネットスラングから生まれた言葉で、基本的には「精神的に不安定な人」の中でも「感情の起伏が激しい、かまってちゃん」に対して使われています。性別は限定されていませんが、「パートナーがメンヘラ」と聞けば、多くの場合、女性が男性に依存している図を思い浮かべるでしょう。
とはいえ人間のことですから、その世界観は多種多様です。つまり、恋愛上級者の可愛いメンヘラさんもいれば、周囲に迷惑をかけるメンヘラさんもいるということ。ならば友人や知り合いとして彼女たちに深く関わってきた女性こそ、同性ならではのエピソードをたくさん持っているのでは? ここでは、20代女性がうっかり覗き見してしまった(ごく一部の)闇メンヘラさんのお話を紹介していきます。
A子さん「兄の元交際相手の話です。彼女はよく私に、兄との赤裸々な話を聞かせました。“初めて手をつないだとき、彼の横顔が真っ赤で可愛かった”とか、“彼は私の脚が好きなの”とか。でもそれはまだ可愛い方で、キスマークを見せられたり、どういうセックスをしたか語られたり、生々しい話題も多かったです。するとあるとき、兄が“彼女の言うことは信用するな”と……。なんと、彼女が私に聞かせた話は、ほとんど嘘だったのです」
「ずいぶん不遇な生い立ちだと聞きましたが、それも嘘。そういえばよく “妹さんはずるい”みたいなことを言っていましたし、兄と私の関係を本気で勘ぐっている節があった。つまりあの節操のない嘘の数々は、私への牽制というか、”私の方が愛されている”マウンティングだったのだと思います。彼氏に近づく女は、妹であっても気になるのでしょうか?」
A子さん自身は、お兄さんとはごく一般的な距離感で、なぜ彼女が嘘をついてまで自分の優位を示そうとしたのかわからないと言います。彼女の方はきっと、「好きな人の妹さんの立場がうらやましい」気持ちのまま、突っ走ってしまったのでしょうね。
B子さん「バイト先に、 “ネット弁慶”の後輩がいます。暗い性格で誰とも親しくないのに、LINE上では私にもほかの先輩にも、タメ口混じりに絡んでくるのです。あるとき、彼女はバイト先の同期にLINEで告白して振られたのですが、“あなたの本当の気持ちはわかっているから”と、しつこく粘着していました」
「告白もすごく上から目線で、“私のことが好きなら付き合ってあげる”という感じ。ただ、告白もその後の粘着も、周囲への弁明も、全部LINE。そもそも当事者同士はまともに会話したことがなく、彼女はなぜ好かれていると確信したのか、誰にもわかりませんでした」
「後日、彼女から私にLINEが来ました。“B子先輩がそう言ってくれて心強い”、“おかげで勇気が出ました”と。なんのことかわからなかったのですが、LINEって、名前の下に表示されるステータスメッセージがありますよね。なんと彼女はそれを全部、自分に宛てられたものだと思っていたのです。私は前向きなことを書いていたので、 “応援してくれている”と感じたらしい。彼女の中では、いつの間にか私は頼りになる味方だったみたいです」
結局、彼女は再び問題を起こしてバイトを辞め、B子さんもLINEをブロックしたそう。その後、誰にも教えていないメールアドレスに怪文書が送られてきたこともあったと言いますが、ステータスメッセージの件は新しいですね。感性豊かな彼女は、日々どんなことを感じながら生きていたのか、一周回って興味深いです。
C子さん「なぜだかわからないけれど、学生時代からよく、女友達に“これ、見て”と傷跡のある手首を見せられてきました。はじめは身構えていましたが、そのうちのいくつかはどう見ても、子どもの頃の古傷だったり、黒いペンで書いていたり。ようするに真似事ですね。彼女たちは彼女たちなりに、そうする理由があったのだと思いますが」
「なんにせよ、どういう反応をするのが正解なのかはいまだによくわかりません。“初めて見た”、“大変だね”と色々なリアクションしてきましたが、今のところ“どうしたの?”と話を聞いてあげるのが、一番好反応ですね」
ちなみに最近、C子さんの周囲のメンヘラさんの間では、 “ペンや絵の具で好きな色の傷を付ける”のがトレンドだそう。どの分野でも、新しい発想をする人はいるのですね。
D子さん「ネットで知り合った女友達は、Twitterのアカウントを10個以上持っています。タイムラインに張り付いて、1000人を超えるフォロワーの増減も1人単位で監視している。他人の呟きを自分に向けられたものだと思い込み、空リプで遠回しに反論したり、“あなたのツイートはスクショしているから発言に気を付けてね”みたいなことも言ったりします」
「ある日気が付いたら、私は彼女にブロックされていました。そしてそのブロックしたアカウントで、私の悪口を言っているみたい。なにか気に障ることをしてしまったのかもしれませんが、リアルで会うといい子だし、楽しく遊べます。ただ別れた後に、私が実際に言ったこと、やったことに対する文句を、私に見られないアカウントで呟くみたい」
「卑怯なのは彼女の方だけど、“なんでそんなことするの”とか、“言いたいことがあるなら面と向かって言って”とか、そういうことはむしろ口にする方がおかしい気がして、どうしようもないですね。でも友達関係って、少なからずそんな面があるでしょう。お互いに思うところがあることはわかっているのに、どちらかが過剰に我慢したり、見ないふりをしたりしながら、それでも一緒にいること」
確かに、D子さんのスタンスに共感する人も少なくはないと思われます。多くのことに目をつぶって共同生活を送らなければならなかった学生時代、苛立ちのはけ口だった女子トイレや掲示板がSNSに取って代わられ、“陰口を言われている”ことに気づくルートが、コウモリのような友人からブロックという形になっただけなのかもしれません。
E子さん「以前働いていた職場に年上のカップルがいました。彼氏の方とは趣味が合って、良い先輩後輩の関係でしたが、それが気に入らないのが彼女の方。まず挨拶を無視され、私の直属の後輩に、私の悪口を吹き込まれるようにもなりました。もちろん私と彼氏の方は、お互い下心はまったくなくて、二人きりになることもなかったのですが……」
「そんな中、彼女が途中で投げ出した業務を私が引き継ぎ、自宅で仕事をする羽目になっていたら、突然、彼女からLINEが送られてきました。3回はスクロールしなければならないものすごい文量で、ようは私の態度や仕事に対するダメ出しです。私は努めて冷静に、事実関係だけ訂正しましたが、翌日出社すると色んな人に心配されました。彼女はオフィスで、自分と私のメッセージを大声で読み上げながら、やり取りをしていたらしい(笑)」
「それから3年ほど経ち、彼氏の方が転職することになりました。送別会が開かれ、花束を渡す時間があったのですが、たまたま私が彼の前に。すると、彼氏の方が私から花束を受け取って後ろを向いた瞬間、突然割り込んできた彼女に突き飛ばされました。数日経ってからやっと、ああ、それだけの悪意を向けられていたのだなと思いましたね」
なお、E子さんが彼氏の方に手渡した花束は、その彼女の方が帰り道で泣きながらぐしゃぐしゃにして、捨ててしまったのだそうです。ありのままで生きているというのは、まさにこういうことを言うのでしょう。それでも変わらず味方になってくれる人がいるなら、ある意味で世渡り上手なのかもしれません。
メンヘラさんとの体験談を、女性の立場から紹介してもらいました。依存や執着の直接の対象ではない同性だからこその視点や、時代の流れを感じるお話ばかりでしたね。メンヘラ女性のタイプは多種多様。あなたの周りにはどんなメンヘラさんがいるでしょうか?