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サボり癖を治したい!原因と改善方法について専門家がアドバイス

やるべきことを後回しにして楽をした経験は、誰にでもあるでしょう。ただ、それが習慣化して「サボり癖」がつくと困りものです。周囲の人に迷惑をかけるだけでなく、自分で自分を大切にできない「セルフネグレクト」(自己放任)に陥ってしまうかも。自分がそうだと感じたときにはどうするべきか、心理カウンセラーのakala先生に聞きました。

▼サボり癖とは?

勉強、仕事、対人コミュニケーションなど、ひとりの人間が「やらなければならないこと」はたくさんありますね。それらから繰り返し逃げてしまうことを、ここでは「サボり癖」と表現します。めんどくさいから、やる気が出ないからと問題を先送りにする「悪癖」です。

ポイントは「心身は至って健康で、課題解決は難しくない」「やらないという判断が極めて安易」「何度も繰り返す」こと。しかし、怠けたいと思うことそのものや、一度や二度誘惑に負けることは誰にだってあるでしょうし、そこからサボり癖まで至るきっかけは些細なものであることも少なくありません。どなたにとっても他人事ではないのです。

▼サボり癖がつきやすい人の特徴

・自分に自信がなく、向上心を持とうとしない
・責任を課せられることを嫌い、逃げたりごまかそうとしたりする
・常に受け身体制で、指示されたことでしか動けない
・「頑張ったところで何になるのか」と常にわかりやすい見返りを求めている

サボり癖がある人、将来的にそうなる可能性が高い人の特徴を挙げました。まとめると主体性や責任感、自信がない人なのですが、そういうものを持つに値するだけの能力がないと、自分で自分を評価していることが根本の原因だと考えることもできます。

その自己評価が事実に即しているかどうかは場合によりますが、能力がないから主体性や責任感、自信を持っても痛い目を見るだけ、それなら自分にも周囲にも期待せず、楽な方に逃げようと諦めた結果が、サボり癖なのかもしれません。そして逃げたことを責められても、「だって自分はその程度の人間ですから」とさらに卑屈になっていくのですね。

▼サボり癖を放置すると起こること

・問題を放置していることで、自分自身が精神的に疲弊する
・他人からの期待を裏切るため、成長の機会を逸する
・経済的に困窮する
・周囲から信頼されなくなり、友人、仕事、居場所を失う
・さらに自分に自信をなくす負のスパイラルに陥る

▼サボり癖に苦しむ人に専門家がアドバイス

一口にサボり癖といっても、人によって状況は異なります。では、実際にサボり癖で苦しむ方の体験談を挙げるので、少しでも思い当たる部分がないか確認してみてください。また、そもそもの原因と改善案を、akala先生に解説してもらいました。

・A子さんのケース
20代のA子さんは当日欠勤の常習犯です。就職して2年間は無遅刻無欠勤とまじめに勤務していましたが、ある日、うっかり寝坊で遅刻して以来、なにか歯車が狂ったように遅刻・欠勤を繰り返すようになってしまいました。そんな自分を変えたいと思っていますが、朝はなかなか気持ちがついてきません。

▼なぜサボり癖がついたのか?

akala先生「A子さんの場合、就職して2年間は気持ちが張り詰めていたためか、自分へのプレッシャーを保持できていました。しかし、仕事にやりがいを見つけられず、また、やりがいを見つける努力をせず、ただただ無為に毎日を過ごしてしまっていたようです」

「そういった日常に浸かっていると、仕事に対しても自身の将来に対しても責任を感じることができず、会社から解雇されるなど極端なことが通達されない限り、現状維持で良いと自分を甘やかしてしまいます。自分がいてもいなくても特に変わらないと、存在意義を見出せずにいる中で、周囲への影響までも考えられなくなってしまったのでしょう」

A子さんの場合、サボり癖が発揮されるのは仕事の面でした。彼女のもともとの性質がどうあれ、長い時間を過ごす職場で「自分は必要とされている」「自分がやっていることは価値のある仕事だ」と思える成功体験がなく「どうせ自分がいなくても・やらなくても」と自虐的になった結果、起床時に自分を奮い立たせる気力が萎えてしまったのかもしれません。

▼サボり癖を変えるための心掛け

akala先生「まずはA子さん自身が、現状に危機感を持つことが必要です。“まだいいや”、“自分なんていなくても” “次はちゃんとやろう”という自分視点からだけの判断ではなく、自分が義務を怠ることによる周囲への負担、迷惑などを常に考えられるようにしましょう」

「現状の中でも自分ができること、自分がより役に立てるであろうことを考え、やりがいを持ち、モチベーションを上げることも大切です。また、やるべきことに関しては必ず後回しにはしないように意識をすること。“こうでありたい”という自分をイメージして、その自分になれるように小さな目標を設定することも大切です」

自虐的な気分になり、自分の存在意義を見失いかけることがあっても、それで周囲に迷惑をかけることが許されるわけではありません。もう無理だと感じるならけじめをつけるべきで、環境ではなく自分の気持ちの持ちようで変えられることがあるならば、小さなことから努力してみましょう。また、睡眠・栄養不足などの身体の不調が気分に影響している場合もあります。第一に、規則正しく健康的な生活を心がけてくださいね。

▼サボり癖の延長に…恐ろしい「セルフネグレクト」とは

サボり癖がさらに深刻化すると、「セルフネグレクト」と呼ぶべき状態に陥ってしまうこともあります。この言葉は、衛生的な住環境、財産、自分の身の安全が脅かされる状態を自ら放置し、単身ゴミ屋敷に住み続ける高齢者などに対して多く使われてきました。

サボり癖のある人が先送りにしてしまう「やるべきこと」は、仕事や人間関係における社会的な義務が多いですが、セルフネグレクトの人は食事や睡眠、排泄などの当然の欲求、生理現象まで疎かにしてしまいます。健康で文化的な生活を、自ら放棄してしまうのです。

そんなまさか、と思うかもしれませんが、例えばゴミ捨てのタイミングを逃した、お風呂に入らずに寝てしまった、そんな些細な「めんどくさいな、まあいいか」がエスカレートした結果、セルフネグレクトに陥ることもあります。また、特に若い世代では税金の支払いや、奨学金の返済を「めんどくさい」という理由で無視し、自己破産までいってしまうパターンもあります。これもセルフネグレクトの一種と言えるでしょう。

▼セルフネグレクトに陥りやすい人の特徴

・やるべきことをやらない、後回しにする
・消極的で経済的にも余裕がないため、家族や友人、地域とも疎遠
・これまでに何かをやり遂げたことがなく、自分に自信が持てない
・持病がある
・大切な人に先立たれたなど、心に大きな傷を負っている

サボり癖がついたきっかけの多くは、自分の能力・存在価値への懐疑的な姿勢です。セルフネグレクトも根っこは同じですが、それがさらに悪化し「自分は尊重されるべき大切な存在であるという自覚」が完全に失われることで、「自分で自分を大事にできなくなっている」状態だと言えるでしょう。

自己肯定感が正しく養われていないのか、外的要因で損なわれたのかは場合によりますが、自分に自信がなく、人生に価値がないと感じる→苦労する理由がないのであらゆる面倒なことから逃げる→当然事態は好転せず、どんどん取り返しのつかない方向へ行く→すべてを投げ出したくなって人生を諦める、と自分で自分を追い詰める負のスパイラルに陥ってしまうと考えられます。

▼セルフネグレクトを放置すると起こること

・衛生観念が崩壊し、健康状態が悪化する
・友人、家族を悲しませる
・仕事を失い、経済的に困窮する
・自己肯定感が低下し、自分の尊厳を自分でないがしろにしてしまう
・自分に生きる価値があると認め、健全な状態まで立ち直るためには長い時間がかかる

▼セルフネグレクトに陥った人に専門家がアドバイス

セルフネグレクトは比較的新しく、あまり世間には浸透していない言葉なので、すぐにピンとこない方も多いでしょう。こちらでも、実際にセルフネグレクトで苦しむ方を紹介します。少しでも思い当たる部分がないか確認してみてください。また、そもそもの原因と改善案を、akala先生に解説してもらいました。

・B子さんのケース
30代のB子さんは高収入のキャリアウーマンです。しかし、仕事に関わらない身の回りのことについては、度を越して無頓着でした。特に意味もなく食事を抜き、空腹で嘔吐しそうになるまで放置したり、トイレに行くことすら面倒で、限界まで我慢して膀胱炎になったり、あきらかにケガをしている、体調を崩しているのになかなか病院に行かなかったりします。

▼なぜセルフネグレクトに陥るのか?

akala先生「B子さんのように仕事で結果を出せる反面、要領が良いだけにコツコツと何かを成し遂げたことのない人は、自己肯定感が低く、向上心がありません。一見わかりにくいですが、変化を避け、自分の殻に閉じこもりがちです。仕事では義務を果たせますが、それ以外のことに関しては、めんどくさいという気持ちが先行してしまうと考えられます」

「B子さんの行動には、“人に迷惑をかけていないから(自分しか困っていないから)いい”という判断基準が見え隠れしていますね。しかし、それは視野が狭く、自己中心的だと言わざるを得ません。物事が全てにおいて自分基準で、自分を客観視できていないからです。人と無難にコミュニケーションを取れているように見えても、何かすれ違いがあったときに、人の意見を取り入れようとすることもできないでしょう」

自分は生きている価値がある、と自分で認めてあげることができないのは悲しいことです。子どもの頃に受けた教育、情緒的な面の健全な発達によって、その芯が知らず知らずのうちにできあがっている人もいれば、大人になっていく過程で、自らの手で「自己肯定体験」を獲得していくしかなかった人もいます。難しい問題ですが、時にはカウンセラーなど専門家の力も借りながら、なぜ自分で自分を大切にできないのか、見つめ直すことも必要かもしれません。

▼セルフネグレクトから脱するための心掛け

akala先生「他人視点の“現状の自分”を見ようとすることが必要です。例えば、体調を崩すたびに周囲に心配をかけていることを自覚し、罪悪感を覚えること。長期的に物事を見据え、現状に安心感を持てるかということを都度考えるようにすること。自分の行動で、間接的であっても周囲に悪影響を及ぼしていないか、配慮することなどが必要です」

大人になったのであれば社会に貢献し、他人の役に立って自分の居場所を確立する作業は誰しもに課せられた義務です。多くの人は、そうして実際の経験から自己肯定感や自尊心を育んでいるのです。厳しいと感じるかもしれませんが、義務を怠りただ愛されることだけを待っていても、うまくいくはずがありませんよね。

自分の殻に閉じこもることをやめなければ、「あなたが必要だ」、「あなたが苦しんでいると悲しい」と言ってくれる人の存在を、見逃し続けて終わってしまうでしょう。ただし、本人の気の持ちようで改善できる状況には限界があります。B子さんのような状態にある方は、早めにカウンセラーなどの専門家や専門機関に相談してくださいね。

▼まとめ

めんどくさいという怠け心、遅刻癖、汚部屋など、誰しも身に覚えのある心の隙が人生への諦めにつながることがあります。最低限の義務をこなしてまっとうに生きることは、本当はとても難しいのかもしれません。しかし、たとえ少しサボってしまっても、自信をなくしても、そこからさらに自分を追い込むようなことはせずに、「わたしは生きているだけで尊重されなければならない」と考えるようにしましょう。だからこそ、これ以上、自分で自分を貶めてはいけないのだということを忘れないでくださいね。

▼ご協力いただいたカウンセラー

メンタル心理カウンセラー/上級心理カウンセラー。
恋愛、片思い、復縁、人間関係が専門。問題を客観視するだけではなく、相談者に寄り添いながらより良い方向に導くお手伝いをされています。

charmmy編集部
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