あらすじ:家庭を省みない仕事人間であるソグは、妻とは別居され、娘のスアンとも微妙な関係。母親に会いたいというスアンの頼みをしぶしぶ聞き、釜山行きの高速列車KTXへと乗り込むが、発車直前に異様な風体の少女が駆け込んでくる……。
2020年に続編が公開され、ハリウッドでもリメイクされることが決まっている、無駄なく仕上がったゾンビパニック!「感染者」が乗車したことで、密室の列車の中で次々と感染が広がっていく緊迫した状況の中、父親と娘、妊婦と夫、少年少女といった乗客の人間模様を中弛みすることなく一気に描き上げます。「噛まれたら感染する」というゾンビの定石だけ覚えておけば、難しいことはもう必要ありません。
素直にハラハラドキドキできて、素直にイライラできて、素直に感動できる。娯楽作品とはこういうものかと思いました。ゾンビパニックなので、少々ビックリするシーンや痛々しい描写はありますが、ホラーが苦手な方にもおすすめです。
あらすじ:平和な田舎の村で、錯乱した村人が家族を手にかける事件が続々発生。オカルトな噂が囁かれ、山奥に住む「奇妙な日本人」の関与が疑われるが、警察官のジョングはまともに取り合わなかった。しかし、身の回りで次々と恐ろしい出来事が……。
日本人がキーキャラクターとなる、キリスト教モチーフのサスペンスホラー。ホラーということを念頭に置いて観ても、「事件の発生と警察官の捜査」のよくある図が、だんだん変質していき、日常からかけ離れていく様子は圧巻です。視聴者は、ごく一般的な感性の持ち主である主人公と一緒に、あっという間に異世界に引きずり込まれてしまうでしょう。
「よそ者の日本人」を演じた國村隼さんの怪演は、衝撃的すぎてしばらく忘れられません。第一印象が強烈で、しばらくそれに準じたイメージを持つことになりますが、観ていくうちにそのキャラクターに何度も振り回されるはず。中盤まではショッキングさ重視で、ホラーらしいシーンは終盤に詰まっていますが、背筋がゾクゾクする湿っぽさはさすがアジア発といったところでしょうか。ただ怖いだけではない物語の奥深さに浸ってください。
あらすじ:神学校に在学中のチェ助祭は、キム神父の補助司祭として指名される。無愛想な中年神父は教会から「はみ出し者」として扱われており、助祭はその監視役としての役割も期待されていた。二人は女子高生に取り憑いた悪魔を払うため協力するが……。
「パラサイト 半地下の家族」で印象的な長女を演じたパク・ソダムが、圧倒的な演技力を見せつけた本格エクソシズム映画。「哭声/コクソン」もキリスト教モチーフでしたが、韓国は想像以上にカトリックが多いそうです。この物語のほとんどは「悪魔祓い」の様子の描写で、複雑で厳格な儀式が細かく描かれるのですが、こういうことが世界のどこかで実際に行われていると考えると、大変興味深いですよね。
とにかく悪魔に取り憑かれた女子高生の有様が凄まじく、演技だとわかっていても迫力に圧倒されます。ホラーといえば多くの場合、恨みを持って祟る幽霊や、自由意志のないモンスター(ゾンビなど)が登場しますが、絶対的な「悪」の象徴である悪魔はまた別の種類の恐ろしさを持っています。人間の姿を借りて人間の言葉を話すのに、分かり合うことは永遠にない存在なのだ、ということを思い知る感覚が、ある意味新鮮でした。
暑い夏にうってつけ、おすすめの韓国ホラー・サスペンスを紹介しました。仕方ないこととはいえ、同じ場所で同じことの繰り返しでは気が滅入りますよね。でもデバイスがあれば、おうちの中で様々な世界を見聞きできる時代。ここではないどこか、この世のものではないものを覗いてみましょう。
※編集部独自の推薦作品です。
どの作品に関しても優劣を決する意図はございません。