書店の自己啓発本のコーナーに並ぶ「幸せになるための○○の方法」「恋愛を引き寄せる○○の法則」といった書籍を読みあさった時期がある。
どうして好きな人とうまくいかないのか答えが欲しくて、別れた恋人のことが忘れられなく癒しを求めて、そういう本を次から次へと読んだ。
20代前半の頃だ。当時はそこに書かれていることを実践したりもした。
けれど、結局のところ恋愛は十人十色、何もかも法則に当てはまることなんて有り得ない。確かなのは自分の気持ちだけ──と、自分のなかで答えが出てからは、さすがにその手の本には頼らなくなった。
でも、当時はそれが必要だった。自分と向きあうために必要だったのだと思う。
恋に悩んでいるときは恋愛映画もたくさん見た。ハッピーエンドから救われない悲恋までいろいろ。
20代の頃はまだレンタルショップが主流の時代で、ラブストーリーのコーナーにあるタイトルを片っ端から借りたこともある。
恋愛映画のいいところは、いろいろな視点で恋愛を見ることができることだ。
ヒロインに共感して失恋の傷を癒すこともできれば、男性の目線で見ることもできる、男性はそんなふうに考えているのか、そんなふうに見ているのかと、気づくこともある。
だから恋愛映画は今でもよく見る。
そんななかで、男も女も関係なく、さまざまな恋愛の感情がわかりやすく描かれている映画がある。
ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、ジェニファー・コネリー、ブラッドリー・クーパー、ジャスティン・ロング……そうそうたる俳優が共演しているラブコメディ『そんな彼なら捨てちゃえば?』だ。
一度デートした相手から電話がこないのは何か事情があるはずだと、うまくいかない恋愛にしがみついてしまっているジジ。7年も同棲しているのに彼氏が結婚に逃げ腰で別れを選んだベス。夫の浮気を知っても結婚生活を維持したいジャニーン。
いくつものカップルを通して描かれるのは、女の本音と男の本音。
なぜ、この映画がおすすめかというと、イタいところをズバリと指摘してくれるから。
友人の恋愛相談に乗る場合、恋愛は十人十色だからこそ断定した意見は難しく、どこかオブラートに包んだアドバイスになってしまうこともある。
そもそも恋愛相談は、相手が気の済むまで話しを聞いてあげる、寄り添う、それが大事だと思っている。
特に恋愛においては、周りにいろいろ言われても自分で気づくことができなければ前に進めない。
その気づきポイントがこの映画はたくさん描かれている。なぜ、自分の恋愛はうまくいかないのかと悩んでいる人におすすめしたい1本だ。(text:Rie Shintani)