charmmy TOPココロ/カラダ原田ちあきの人生劇場「自分より優秀な人がいるのに、夢を追う意味はある?」

原田ちあきの人生劇場「自分より優秀な人がいるのに、夢を追う意味はある?」

更新 : 2021.05.18 12:00 / 作成 : 2021.05.18 12:00
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イラストレーター・漫画家の原田ちあきが皆さんの相談に答えてみたり一緒に悩んだりするコラムです。
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一人のイラストレーターとして答えるわよ

相談ありがとうございます。

まず、「絵を仕事にもできずにズルズルダラダラと絵を描き続けてしまっています」と書いているという事は、絵のお仕事に就きたいのかな?
今回はそのていで、イラストでご飯を食べている人間として相談に答えていくわね。

好みが別れる絵柄だという事について。
私もイラストを描き始めた頃、SNSに絵をアップしては思ったように反応が貰えなくて悩んだことをよく覚えているわ。
毎回、自分の絵を「最高傑作だ!」と思いながらアップしていたんだけどね~!

たくさん描いて、たくさん投稿している中で、ある日、お母さんに突然「一生懸命描いてるけど、アンタの絵は線が多くて怖いのよね~」って言われて、「え!? 私の絵って怖いの!?」ってやっと気づいたの。

それまでは本気で可愛い絵を描いていると思ってた。ビックリよ!

そこではじめて「自分の思う可愛いは、誰かにとっての可愛いであるとは限らないんだな」ってわかったの。
同時に私の絵の強みは「怖くみえるところ」「細かく書き込むところ」だと理解したわ。

↑当時描いていた絵

甘い苺でも美味しくないって言われたら買う気にはならない

一所懸命描いた絵を不気味だとか気持ち悪いとか言われたことも数えきれないほどあったけど、私は自分の絵を気に入ってるわ。それってとっても大切な事だと思うの。

自分の絵を一番好きでいるのは常に自分じゃなきゃダメ。
そうじゃなきゃ人の評価とか、フォロワーの数とか、いいねの数っていう他人の評価に依存しちゃうわ。

依存っていうのは例えば、自分ではいい絵だと思っていても「いいねが少なかった」だけでその絵が良くないものに感じる。
そんなの勿体ないよね。せっかくいい絵なのに。

例えばあなたが苺を農家から買う時に「うちの苺は他と同じです。土もいいものは使っていないので自信がないです…」ってプレゼンされるのと、
「うちの苺は他と同じように見えるかもしれませんがここが違います!」ってプレゼンされるのだったら、どっちの苺が欲しくなるかな?


まずは自分の絵が他の人とどう違うか、どこに自信があるか、あなたの絵の魅力を探してみるのはどうかしら!

「私のような絵を描く人は他にもたくさんいるのに私が描く意味あるのかと悩むことが多くなってきました」って書いていたけど、本当にそうかな? あなたが絵を描く理由ってそこなのかな?

本当は「ここの線をうまく引けた」とか「ここの色を綺麗に塗れた」「前よりうまくなった」みたいなところに幸せとか、喜びを感じるんじゃないかなって思うの。
あなたはなんで絵を描く事が好きだったんだろう? 本当はもっともっとシンプルな理由のはずよ。

創造性が足りない

これって多分、物を作ろうと思っている人ほぼ全員に立ちはだかる壁だと思うの。
全員じゃなくて「ほぼ」って書いたのは、たまにそんな壁をひょいひょい乗り越える人がいるから。

私は美術系の高校にいたり、卒業した後にギャラリーに展示しにいったりしていたから、そういう人たちを何人も見てきたわ。
最初は「どうしてこの子は私と年が変わらないのに、こんなに絵がうまいんだろう」って嫉妬して、妬んだり僻んだりしていたけど、よく観察してみると、そういう子たちほど色んなものを見たり、試したりしているんだよね。

例えば画集を読んだり、美術館へ行ったり、気になる漫画を片っ端から読んだり。
色んなものを見てるってことは、たくさんの引き出しを持っているっていう事。

行動するって馬力がいること。そういう努力を見えない場所でしている人に対して、私たちは「才能がある」ってレッテルを張り付けてるだけ

誰だってはじめは何もわからないし技術もないけど、何かを見たり実際に体験することの積み重ねが上達につながるんじゃないかな。
私も絵を描き始めた時とても下手だったけど、下手なりに何年も何枚も描いたり、色んなものを見たり、真似をして、自分っぽい絵柄や漫画を描けるようになったよ。

自分らしい絵を描くには、まずは色んなものを見て吸収して真似をするところから始めるしかない。
自分の好きをどんどん吸収して混ぜて足していってみてね。それがあなたのオリジナルになるよ。

「絵を仕事にもできずにズルズルダラダラと描き続けてしまっている」

最後にこれについて。

あなたが絵を仕事にしたいと思っているなら、身近な目標を作ってみるのはどうかな?
これはさっきの話にもつながるんだけど、いきなり目立つ仕事を任命されることは絶対にないわ。なんでも絶対に積み重ね。
まずは身近な夢を決めてみましょう。

例えばあなたが出版社から画集を出したいと思っているなら、お気に入りのイラストが1枚あるだけじゃダメ。
絵をたくさん描いて発表するしかないよね。
その中でできることを考えてみよう!

→絵のクオリティをあげる
→SNSのフォロワーを○○人まで増やす(何をすれば注目してもらえるかを考える)
→個展を開いて○○人来場してもらう(出版社や業界の人に声をかけて来てもらう)
→出版社に持ち込む

簡単に考えるだけで4つも思いつくよね。

大きな目標を分解して小さな目標を作る。それをクリアする。
でっかい壁はそのままじゃ乗り越えられる気がしないけど、その辺にある石とか木とかを集めて、こつこつ積み重ねて階段を作れば、時間はかかるけどいつかは越えられる気がしない?

「こんな仕事来ないかな~」って思うだけじゃなくて、その仕事をするにはまず何をしなきゃいけないのか、どう動かなきゃいけないのかの地図を自分の手で作ってあげるといいと思うな。
絶対できるよ。だって今あなたは絵を描き続けたり、展示をしたりして既に努力をしているからね

その努力の方向をどこに向けるかが今よりもっと明確にわかれば、きっと絵のお仕事ができると思うな。
自分よりも絵がうまい人も、売れている人もたくさんいるけど、あなたの引く線はあなたにしか引けないし、あなたの塗る色はあなたにしか出せないよ。

他と比べることももちろん大切だけど、自分の絵は自分の物。
他人にゆだねずに、あなたの絵の魅力を自分で見つけていこうね。
明日も可愛いあなたでいてね。

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原田ちあき
イラストレーター・漫画家
大阪在住のイラストレーター・漫画家。よいこのための悪口メーカー。書籍「手から毒がでるねこのはなし」「誰にも見つからずに泣いてるきみは優しい」等/連載「やはり猫にはかなわない」