夜、23時半に友達から「今〇〇と飲んでるんだけど来ない?」と連絡が来るとき。明日の仕事はお昼からで、飲んでいる場所が家から近くてもめんどうだから断りたいとき。そんなとき、なぜ罪悪感を感じるのはこっちなのだろう。いつも遅い時間に誘ってくるのはあっちなのに。
断る理由が「めんどうだから」と言うわけにいかなくて、「明日早いから」とか「やることがあって」と結果的に嘘をつかざるを得なくて罪悪感を感じるのはなぜこっちなんだ。そもそも飲み始めから呼んでくれよ。私は1次会から呼ぶほどではない奴なのか。シラフの状態では思い出すことすらない人物なのか。いい加減にしてくれ。
世の中には「あらかじめ約束をするとその日に気分が乗らないときがあるし、予定は空けときたいから約束はいつも当日」の人と、「予定がない日はひとりでゆっくりしたいし自分の中で決めた予定があるから約束はあらかじめしておきたい」人がいる。前者と後者が交わるのは難しい。だって前者が急にその日に後者を誘ったって、後者は今日はひとりで過ごすと決めているし、後者があらかじめ前者と日時を決めようとしても、前者は気分が変わるかもしれないから「仕事が早く終わった日誘うわ!」と、当日誘う宣言をする。前者と後者が飲みの席で酒を酌み交わすのは、実は小さな奇跡なのだ。
私は完全に後者だけど、職業柄人付き合いが大事なので頑張って前者に合わせている。若い頃は苦痛だった。夜中に呼び出されても行かないといけないし、もちろん強制されているわけではないのだが、罪悪感に苛まれる。二度と誘われなくなるのではないかと不安になる。というか向こうもそんな気持ちで来てほしくないだろう。
でも考えてみれば誘う方だって軽いノリで電話をかけているはずだ。所詮、酔った勢いで会話に出てきた名前にアクセスしているだけだ。軽んじられているのならこちらも軽んじさせて頂く、といったところだ。そんなものなのだ。と気付いてからはガンガン断っている。誘われなくなったっていいだろう。本当にその人と仲良くなりたいのならこっちから誘えばいいだけの話だ。
というような話を今日仕事場でしてみたら思いのほか盛り上がった。その場にいたのはたまたま、「誘う側」が男性2人、「誘われる側」が女性2人だった。女性が「夜中ってだいたいもうお風呂に入ってメーク落としてるんですよ! またイチからメークして準備したら30分以上かかるし! 男性には分からないかもしれないけど!」と憤慨して、それに共感してかなり盛り上がって“男性の悪口を言っているとき”のような空気感が生まれていたがその場に「誘う側の男性」も二人いたことを帰ってから思い出した。どんな顔をしていたかは記憶の中の画を端っこまで見ても映っていなかった。
そのあと、誘う側の男性が「好きな子と飲みたいときにあらかじめ約束するのはハードルが高いからみんなで飲んでいるときに誘う場合もある」と言っていたが、そのときすでに他の女性は居なかった。伝えてあげたいが、もう遅かった。