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「全部やっちゃう女」

「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝し、名実ともに国民のヒロインとなった『3時のヒロイン』。普段はネタ作りを担当し、ゆめっち、かなでをツッコむ福田麻貴が、女という生き物に対してツッコミを入れる、女の生態コラム。

全部やっちゃう女の実態

私は会社で働いた経験がないが、なんとなく今日もどこかの街のどこかの会社からこんな声が聞こえてくる気がする。「あの資料作ってくれた? あ、まだ途中? 一旦見せて。どれどれ…あーなるほどね、おっけー、私がやるわ!」あくまでも妄想であるが、一部署にひとりくらいは居るのではなかろうか。全部やっちゃう女。

どんな仕事も抜かりなく仕上げるので周囲からの信頼も厚いが、その分とにかくたくさんの仕事が舞い込んでくる。どんな仕事も抜かりなく仕上げることで評価されているわけなのだからどんな仕事も抜かりなく仕上げようと頑張っちゃう。でキャパオーバーで崩壊しちゃう。だから誰かに振ってみるけど、上がってきたものの抜かりが見えちゃうから結局自分で引き取っちゃって二度手間になって余計に時間がかかる。そして家に持ち帰ってコンビニ飯を頬張りながら仕上げるのだが、もともと自分が今日やる予定だった仕事すらまだ手をつけてないのに…と思ったらイライラして泣けてきちゃう。でもこの泣いてる間にも刻一刻と睡眠時間が減っていることに気付いて、一旦冷静になって仕事を進める。そんな感じなのではないだろうか。

全ての作業が私に降りかかる…

何を隠そう昔の私がそうだった。私が昔所属していたアイドルグループ は、一度のライブで歌・ダンス・漫才・集団コントを披露するという何とも欲張りで中途半端なライブをしていたのだが、当時は体制が整っておらず、スタッフがとにかく少なかった。そして、私がたまたまダンスの振り付けを作れたり、たまたま音楽の編集が出来たり、漫才や集団コントの台本に挑戦したから書けただけなのだが、それらの裏方作業がすべて私に降りかかってしまった。私だって同じ出演者なのに、ギャラだって出演料しかないのに、何で私は深夜に「夏ソングメドレー」を編集しているんだ。

何で出演者の私が夜な夜な「太陽のKomachi angel」の後奏と「夏の扉」の前奏を違和感なく繋げる作業をしているんだ。ていうか何やそのイベント。というのは置いといて。一度、私の負担を考慮してくれたメンバーが編集してみてくれたのだが、繋ぎ目がプツンと切れて違和感があって、やり直すことになった。ていうかそもそも「太陽のKomachi angel」からの「夏の扉」の流れ自体が違和感あるやろ。ということも置いといて。とにかく、私もみんなと同じように歌を覚えたりダンスを練習しないといけないのに、その倍くらいの裏方作業があって、ストレスの限界だった。

全てを悟ったおじさん作家の一言

ある日のミーティングで、私はついに泣き散らした。公演を仕切る作家さんに涙ながらに訴えた。「私、正直もう無理です! しんどいです! 何で私だけこんなにやること多いんですか!?」21歳の少女のいじらしい涙に、このおじさん作家はきっと心を改めてくれるだろう。「俺は何で気付いてやれなかったんや、そんなに負担をかけてたなんて。なぁみんな! これから福田の負担が軽くなるように、みんなで手伝おう!」そう声をかけてくれると信じてやまなかった。

しかし返ってきた言葉はこうだった。「お前は一生そういう役割やから諦めろ。」血も涙もないこの一言で私の涙は、ひゅんっと引っ込んだ。表情も、スン、となった。「お前は今後どの組織に入ってもそうなるから、割り切った方がいい」と。なぜかスッキリした。最初から平等でいようなんていう期待が甘かったんだと。21歳にして悟ってしまったのだった。

頼る、譲る、妥協も必要

彼の言った通り、私はのちに結成するお笑いトリオ「3時のヒロイン」でも、ネタ作りやYouTubeの企画、編集などのすべての裏方作業を引き受け同じ道を辿ることになった。しかし結成から4年を経た現在の私はちょっぴり違う。人に頼ることを覚えたし、すべてを完璧にこなすことは出来ないのでいくつかは譲る、妥協する、という術を覚えた。その方がいいものが出来るときもある、ということも知った。もう「太陽のKomachi angel」の後奏が急に途切れて「夏の扉」がカットインしてきても、私は何も思わない! ていうかやっぱり何やねんそのイベント!

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福田 麻貴(3時のヒロイン)
お笑い芸人
2016年結成の女性トリオ「3時のヒロイン」のツッコミでありネタ作り担当。「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝。現在CX「ウケメン」や様々なテレビ番組で活躍中