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原田ちあきの人生劇場「SNSで好きをシェアしたら叩かれてしまう」

更新 : 2021.09.21 18:00 / 作成 : 2021.09.21 18:00
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イラストレーター・漫画家の原田ちあきが皆さんの相談に答えてみたり一緒に悩んだりするコラムです。
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好きをシェアする事にリスクが伴う時代になった

好きなものを好きなままいることって難しい。

インターネットがなかったり、それほど普及していなかった時代はある程度自由な状態で好きでいてよかったものが、自分の行動が可視化できるようになってしまったせいで、いい意味でも悪い意味でも全部他人が評価できるようになっちゃった。

昔のインターネットって、ホームページやブログっていう、自分だけの家をそれぞれ持っていて、わざわざ検索して見に行かないと相手の発信する情報を受け取る事ができなかった。

自分に合わないサイトはわざわざ検索しなければ二度と目に入る事はなかったし、誰かとしゃべりたいときだけチャットや掲示板に行って人と話す、満足すると自分の家に帰るってイメージ。

今のインターネットは皆はSNSっていうシェアハウスを借りて自分を表現するから、嫌な情報もいい情報も平等に、しかも大量に目に入ってくるんだよね。
便利だけど難儀な時代だわ!

人間はいい事より嫌な事のほうが心に突き刺さってしまう

100個のいいことや嬉しい反応がもらえても、1つの否定的な意見を見るだけでそれまで手元にあった全部のハッピーが無かったことみたいになる。

口から出た言葉ってあっという間に消えるけど、インターネットに書かれた悪口って何度でも読めちゃうし、なんなら何十年も残っちゃう。

悪口って言われる度に心臓がバクバクして血の気が引くし、見なくていいのについつい何が書かれているか見に行っちゃったりしちゃうよね。傷つくのはわかってるのに! 超不毛!!

好きなものをただ好きでいたいだけなのに、誰かの意見や行動でそういう気持ちになる事はとても辛かったと思う。疑心暗鬼になるし、絵を描くことも怖くなっちゃうよね。

吹っ切れるか、工夫するしかない

多分この問題の解決方法って、吹っ切れるか、工夫するしかないんじゃないかな。

吹っ切れるっていうのは、自分の好きをそのまま貫き通すっていう意味。

ネガティブな気分になるもの(例えば自分に酷いことをしてくる人、噂話がされている場所)は徹底して見ないように心がけたり
逆にいい意味で自分に都合のいい情報(自分を傷つけない人や、好きな情報を発信してくれるアカウント)だけを見るようにしたり。

心の中って「部屋」に似ていると思うの。
自分の部屋って基本的に好きな人や心を許した人しか入れないじゃない?
心も一緒で、自分の人生にわざわざ自分のことを傷つける人を招き入れる必要はないと思うの。

世界中の人間全員に好かれることって絶対できないし、逆に誰のことも嫌わない菩薩みたいな心を持つことも超難しい。てかできない。
本当は誰からも愛される、慈悲深い漫画のヒロインみたいな人生を送りたいけどね! でも好き嫌いが存在するって仕方ないこと。

だからこそ好きなものや楽しい事に囲まれているほうが人生得ってもんよ!
損するか得するかだったら絶対得なほうがいいじゃん!!

嫌なものは極力ミュートしていいの。その権利は誰でも全員持ってる。
お部屋の掃除と一緒で、自分の目に入る世界の環境を取捨選択して整えていく作業って案外こまめにやらなくちゃいけなかったりするものよ!

自分にできる工夫

今のインターネットって鍵をかけない限り、誰でも自分の発信した情報を受け取る事ができちゃう。

例えば「ツラいなあ」と発信すると、心配してくれる人もいれば「私のほうがもっとツラい思いをしてるのに!」と怒ってしまう人もいる。もしかすると「私との関係がツラいってこと?」「それともあの人のこと?」と不安になっちゃう人もいるかも。

自分のアカウントを閲覧している人と同じ数だけ、その情報の解釈は違うわ。
粗を探す人って、どんなに完璧に振る舞っていても綻びを見つけて悪い風に受け取ってしまうもの。

ただ、その粗をできるだけ発生させないようにこちら側で工夫することはできるはず。

「これを書くとどう思う人が多いのか」「このイラストをアップすると悲しい思いをする人はいないか」「ポストした結果、自分が傷つかないか」をシェアする前に考えてみるっていうのも手なんじゃないかな。

自分のアカウントだから何を書くのも自由。だけど、自分と閲覧してくれる人のメンタルを守るために発信する情報を絞るのも大切だと私は思っているわ!

粗探しをしてしまう人ってどんな人だろう

他人を監視して叩いてしまう人って、実は自分の中にしっかりとしたルールがある、すごく真面目な人なんじゃないかな。
で、そのルールからはみ出す人のことを「叩く」ことによって自分の正義の形にピッタリ合うように更生させたいんだと思うの。

ルールを守ることってすごく素晴らしいことだと思う。
でも実際は人それぞれ、正義の形って似ているようで少しずつ違っているんだよね。

インターネットって個人の主張がダイレクトに、しかも誇張されて伝わっちゃう。
人間の内面って本当は多角形でいい部分も悪い部分もごちゃ混ぜにあるはずなのに、インターネット上だとその中の一面しか伝わらないから、より誤解を生みやすい。

私もワイドショーで芸能人の不倫が報じられていたら感情移入して怒っちゃうし、その芸能人に「悪いやつ」っていうレッテルを貼って見てしまう事もある。

実際私はその芸能人に1mmも不快な思いをさせられていないのに何故か嫌いになっちゃったりね。
そのワイドショーみたいな事が毎日起こっているのがSNSだと思っているの。

誰かに嫌われちゃったり誤解されるのってすごく悲しくて苦しいけど、誰だって他人にレッテルを貼っちゃう事があるし、反りが合わない人って絶対にいる。話が通じないことだってある。これは本当に仕方ないこと。

でも、その人に嫌われたくない一心で、無理やり自分のルールや気持ちや行動を捻じ曲げるんじゃなくて、工夫をしたり、うまく距離をとって付き合っていけばきっとハッピーに過ごせるはず。

それでも無理な人や空間はできるだけミュートにして、心の平穏を守っていきましょう。

自分の世界を綺麗にできるのは自分だけよ。
あなたが明日もご機嫌で可愛いあなたでありますように♡


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原田ちあき
イラストレーター・漫画家
大阪在住のイラストレーター・漫画家。よいこのための悪口メーカー。書籍「手から毒がでるねこのはなし」「誰にも見つからずに泣いてるきみは優しい」等/連載「やはり猫にはかなわない」