世の中には、人がこわいから明るい人、人がこわいから無口な人、人がこわくないから無口な人、人がこわくないから明るい人、が居る。一様に「明るい/無口」と分類することは出来ないので、なんとなく、の話ではあるが。これくらい複雑だと、外面だけでその人を判断することは相当難しいと思う。しかし、目を凝らすとその人がよく見えてくる。
一般的には、明るい人というのは、社交的で人間が好きで、いつも機嫌がいい、そんな風に捉えられることが多いと思うが、その「人がこわくないから明るい人」の仮面を被った「人がこわいから明るい人」という人間が意外と多数存在する。彼らは、人から嫌われることを極端に恐れていて、心の芯にとんでもない暗闇を抱えている。彼らは対人関係の何らかのトラウマを乗り越えて、防御反応、生存術として明るさを纏っている。「人がこわいから無口な人」というまっすぐな反応に比べて、やや入り組んだ構造になっているので、判別されにくい。
逆に「人がこわくないから無口な人」これは誤解されやすく損しやすい。人に嫌われることを恐れていないので、その場を取り繕って喋ったり、無理に笑顔を作ったり同調したりしないため、地味な人、または人当たりの悪い人、と判断されることがある。しかし彼らは、ただたまたま無駄に喋っていないだけなので、接触回数が増えるほどに、優しさを見せたり、根本に持つ情を垣間見ることが出来る。しかし多数の人から誤解されたまま生きていくのも現実である。
一番気付きにくいのはやはり「人がこわいから明るい人」だ。彼らはほとんど誰のことも信じていないまま明るく振る舞っているので、誰かの何気ない発言に傷つきやすい。さらに、明るいので「ちょっとくらい強めにイジってもいけそう」なオーラがあり、余計にイジられやすい。しかし内面を知られるのを一番嫌がるタイプなので気丈に振る舞ってしまい、余計気付きにかれにくい。
あと「強そうな人」も要注意だ。ウニと同じように、トゲトゲなのは中がやわやわだからだ。彼らも、傷つけられない術として硬い殻を被っている。もちろん、本当に中身も外も強いだけの人もいるので難しい。
思うに、口調、言葉遣い、表情、態度、などの個性は、対人関係の反応を重ねて作られていくもので、自分の中にある核の性格や思想とは、少しずつズレていくものなのだと思う。どんな環境でどんなグループの中で過ごしてきたか、それが外面の姿に表れるが、その人の本当の心というのは、深く接触を重ねなければわからない。