育児期間は鬼ばかり!?
妊娠・子育てハラスメントの実態
第7弾は、妊娠中や子育て中に起こるハラスメント。可愛い我が子の誕生、きっとみんな喜んでくれるはず……なーんて思っていたのに、ふたを開けたら世間は敵意むき出し状態。
産休を前に体調に気を付けながら働いているのに、時短で働くことを迷惑だと堂々と言ってのける上司。1人目の子育てを終えてすぐに、「2に目は?」と食い気味に聞いてくる親や近隣住人……。妊婦さんや子育て中の人に向かって、会社のため、あなたのためと自分勝手な要求をぶつけるなんて、見た目は大人、心は子供状態もいいところ。真実はいつもひとつ!なんです。自分本位な考えを押し付けず、出産・子育てしやすい社会をつくり、近しい人であってもプライバシーを尊重する、そんな思いやりに溢れた関係性を築いていきましょう。
【授業1】
マタニティハラスメント(マタハラ)
マタハラとは、妊娠や出産をきっかけに会社から嫌がらせや異動、減給、降格、解雇、自主退職の強要など、不当な扱いを受けること。
やりがちシチュエーション
産休に入るまでの期間、体調に気を付けながら精いっぱい仕事に励んでいるのに、上司からは「また早退? 本当はもっと働けるんじゃない?」仕事仲間からは「仕事途中で投げ出されると迷惑なんだよね~…」とボソッと一言。日に日にお腹の大きくなる妊婦さんは、急に体調の変化が起こることもあります。それを、個人的な感情で“迷惑”だと言ってのける配慮の欠けた人たち。半分は優しさでできているバファ●ンを見習ってください!
マタハラにあってしまったら…カウンセラーによる対策
マタハラに対しては『どれだけ自分勝手になれるか』がカギとなります。かけた分の迷惑は後からいくらでも取り返せるものだと割り切り、マタハラ的発言を真に受けないことが大切です。仮に異動や自主退職を求められた場合は、その理由を聞き記録し、いざというときは法的な解決も視野にいれ自分や子どもを守る選択も考えておきましょう(カウンセラー:乾紫響さん)。
効果があるかも!?マタハラの対抗策“あやし上手ハラスメント”
妊婦の働き方に対して愚痴を言い常にムスッとしている上司には、赤ちゃん用のガラガラを持って全力であやしてみてください。大丈夫、虫の居所が悪いだけです。あなたの優しい声とガラガラの音色に落ち着きを取り戻し正気になるはず。むしろ、プレイ的な行為に興奮して乗り気になるかもしれません。※編集部考案の対抗策です。もし上司がもっともっとと要求してきたら、セクハラの対抗策をお見舞いしましょう。
【授業2】
パタニティハラスメント(パタハラ)
パタハラとは、育児をするために休暇や時短勤務を希望する男性社員に対して行う嫌がらせ。父性を意味するpaternity(パタニティ)とハラスメントを組み合わせた和製英語。
やりがちシチュエーション
奥さんにだけ育児の負担はかけられないと、旦那さんも育児休暇の申請。本来なら正当な制度であるはずなのに、あろうことか直属の上司が「こんな忙しい時に……」「人が足りないんだから無理に決まってるよね」とあっさり却下。男性は働いてなんぼ、育児は女性に任せればいいという昔ながらの考えを押し付ける昭和脳の上司には、イクメンという言葉はラーメン、つけ麺、それイク麺?と新種の麺くらいにしか思ってないんでしょうね。
パタハラにあってしまったら…カウンセラーによる対策
男性が対象となるパタハラの場合、『妻の育休』を盾に育休取得を妨げられることがあります。そのようなときは、「(妻には)自分の支えが必要である」ということをはっきり伝えましょう。また日頃から自分の余裕がある限りは同僚の仕事を手伝うなどし、いざというときに味方になってもらえるような関係を築いておくことも重要です(カウンセラー:乾紫響さん)。
効果があるかも!?パタハラの対抗策“主婦の心鷲掴みハラスメント”
男性の育児に理解を示さない上司には、言葉で応戦するより女性の心を鷲掴みするほうが効果的。仕事を理由に育児に協力的でなかった上司の奥様は、大変だった育児期の恨みを忘れていません。その奥様たちに、今の世代の男性が育児に協力的であることをアピールすれば、心をキュッと鷲掴み。「なんて立派なの!」と援護射撃してくれること間違いなし。※編集部考案の対抗策です。偶然を装い出会えるように、上司夫妻の行動を把握しておく必要があります。
【授業3】
2人目ハラスメント(フタハラ)
フタハラとは、1人目の子供を産んだあとに「次はまだ?」「2人目はいつ?」と発言する行為。「次は男(女)の子だね」や「1人じゃ可哀そう…」といった発言も該当。
やりがちシチュエーション
1人目の子育てに四苦八苦しながらも少しずつ慣れてきた矢先に、両親&義両親から「ひとりっ子だと寂しいわよ~。2人目はいつなの~?」と怒涛のせっつき。(ほっといてくれよ……)と思いながらも、「もう少し落ち着いてから…」と大人な対応。肉親からの口撃をかわし、安心したところにご近所さんから「2人目産むなら早い方がいいわよ~」とダメ押し……。子供は授かりものゆえ、人様にどうこう言われたくありません!
フタハラにあってしまったら…カウンセラーによる対策
悪気なく聞いてくる為、強く言い返せず溜め込んでしまうケースが多いようです。そこで何度も聞いてくる人に対しては“あえてその人に相談する”という方法があります。「ある人に『2人目は?』と何度も聞かれとてもしんどい思いをしている」と話すことで、実質本人に伝えられますし、次回以降は聞かれにくくなるという予防策にも繋がります(カウンセラー:乾紫響さん)。
効果があるかも!?フタハラの対抗策“催眠ニワトリハラスメント”
プライバシーをガン無視し、2人目は?と何度も聞いてくる人には、聞いたことすら忘れるように仕向けましょう。自分の意見が正しいと思っている人たちゆえ、こちらの意図を伝えたところで響きません。ならば、トリッキーに催眠術で忘れさせてしまうのが得策。催眠が切れても何度もかけなおせるので、いつしか催眠術師としての才能も開花できるかもしれません。※編集部考案の対抗策です。振り子は目の高さでゆっくり振るのが成功させる秘訣です。
【授業4】
育児ハラスメント(イクハラ)
イクハラとは、育児をする際に職場で取得できる権利に対して不当な扱いを受けたり、文句や陰口を言われるなどの嫌がらせ。
やりがちシチュエーション
育児休暇を申請したのに、上司から「そんなに休まれると困る」「戻ってこられると思わないでほしい」と心無い言葉。復帰してからも、育児との両立を図るために時短勤務をしていると、迷惑そうな顔で「使えねぇ……」とぼそり。仕事の士気を高めるリーダーである上司が、仕事のやる気を奪い幸せな笑顔までも奪うなんて言語道断! 仕事云々の前に、“育児に関する知識”と“思いやり”を学んできてください。
イクハラにあってしまったら…カウンセラーによる対策
育休も産休同様、『認められている正当な権利を使っているだけだ』という意識を持つことが自分を守る上で1番大事です。ただし自分や子どもの為だと割り切ることと不当な扱いを受け入れることは次元の違う話なので、育休に対する不当な処遇に対してはカウンセラーや弁護士に相談し、一人で抱えず早急な解決を心掛けましょう(カウンセラー:乾紫響さん)。
効果があるかも!?イクハラの対抗策“ノスタルジーハラスメント”
育児中に嫌がらせや文句を言われる場合は、言ってきた人の情に訴えるのが一番。まずは言ってきた人の写真を入手し、ちょっとしたアルバムを作りましょう。またその人から嫌がらせや文句を言われたら、バッグからいそいそとそのアルバムを取り出して親の愛の大切さを述べてみてください。自分のやったことに恥ずかしさを覚え泣きながら改心するはず。※編集部考案の対抗策です。BGMにはさだま●しさんの無縁坂がおすすめです。泣けます。
【授業5】
ベイビーハラスメント(べビハラ)
べビハラとは、公共の場で泣いている赤ちゃんに対して、あやしたりすることなく放置する行為。その行為によって精神的苦痛を与えること。
やりがちシチュエーション
結構な混み具合の電車にベビーカーに赤ちゃんを乗せた母親が乗車。虫の居所が悪かったのか、乗って早々赤ちゃんがギャン泣き。泣くことが仕事の赤ちゃんにとって、これは自然なこと。大人がうるさいだの喧しいだのいう権利はありません。ただ、当の母親が赤ちゃんを見ようともせず携帯をいじって放置状態なのはいささか問題。大人への配慮の前に、赤ちゃんに対しての配慮が欠けていることにモヤッとしてしまうのです。
べビハラにあってしまったら…カウンセラーによる対策
ベビハラに対する過剰な反応はイクハラに該当する場合もありますので、可能であればその場を離れることが最も望ましいと言えます。また迷惑に感じる場合であってもいきなり注意を促すのではなく、「これだけ元気だと大変でしょう?」のように気を遣った言い回しから触れていくことが適切な対応策となります(カウンセラー:乾紫響さん)。
効果があるかも!?べビハラの対抗策“世の不満吐き出しハラスメント”
公共の場で泣いている赤ちゃんをあやしもせず、携帯やおしゃべりに没頭している親を見かけたら、赤ちゃんに負けないくらい泣きながら世の不満を叫んでみてください。男に振られた恨み、リストラされた悲しき叫び…なんでもかまいません。大人の全力で泣く姿を見せるのです。誰にもあやしてもらえない大人の哀れな姿を見て、こうはさせまいと赤ちゃんを全力であやしはじめます。※編集部考案の対抗策です。恥やプライドを捨てる覚悟が必要です。
まとめホームルーム
今回の大人のハラスメント講座は『妊娠・子育て中に起こるハラスメント』についてお送りしました。産休や育児休暇を取ることは正当な行為であり、事業主の義務。それを体のいい言葉や行為によって、個人の仕事ややりがいを奪っていいわけありません。
同じように、親や知人の心無い行為よって、妊婦さんや子育て中のお母さんの笑顔を奪うことも許されません。身勝手な大人の振る舞い、子供はしっかり見ています。反面教師を見せる前に、お手本となる大人の振る舞いを心がけていただきたい!
ゆえに、今回の教訓
【案ずるより産み易し】
この言葉を教訓にして、安心して子供が産めて子育てができる会社や暮らしを築き、笑顔の絶えない幸せを手に入れましょう!
イラスト:波打ベロ子
【協力してくれたカウンセラー】
福井県で心理カウンセラーとして活動しながら、カウンセリング心理学の講師、アートセラピスト、LINE上での相談など幅広く活躍。専門分野は恋人との関係、人間関係、感情コントロールなど。